期待されてきたストライカーが、堂々と「エース」と言える存在になって選手権を迎える。日章学園のFW鈴木陽介(3年)は選手権宮崎県予選で計10ゴール。決勝では2得点1アシストと全3得点に絡む活躍で日章学園を全国に導いた。


 鈴木は1年時にプリンスリーグ九州で2得点を挙げるなど1年目から頭角を現していた選手。ボールを収めることに長けるなど技術力も、推進力も、得点感覚も備えた九州屈指のストライカーだ。一方で、これまではどこか気持ちが前に出てこない部分もあった。


 印象的だったのは、彼が1年時の九州新人大会。予選リーグから準々決勝にかけて決勝点や2試合連続の先制点を決めるなど大活躍した。だが、準決勝は軽度の怪我で気持ちが後ろ向きになったところを早稲田一男監督に見抜かれて出番なし。チームも敗れた。続く3位決定戦では途中出場で非常にキレのある動きを見せて勝利に貢献したが、指揮官に「シュートは上手い。感覚を持っています。(だが)まだまだ甘いです」と指摘されていた。


 鈴木は昨年、MF河原淳(現阪南大)らのサポートを受ける形でプリンスリーグ九州得点ランキング2位の18得点。インターハイではベスト8も経験し、今年のプリンスリーグ九州でもマークが厳しくなった中で10得点を記録している。


 実績は十分だが、物足りなさを口にしていた関係者がいたことも確か。だが、選手権予選の決勝ではゴールに対して非常に貪欲で、誰よりも怖さを感じさせるプレーでチームを牽引する姿があった。


 前半17分に先制ヘッドを決めると、その後は相手GKのビッグセーブに阻まれながらもメンタルを落とすことなく、ゴールへ何度も向かい続けた。そして後半32分、我慢強く守る宮崎日大守備陣を個でこじ開けて2得点目。さらにスルーパスで3点目もアシストして見せた。


 コンビを組む1年生からも刺激を受けている。鈴木が「センスの塊」と評するFW木脇蓮苑は昨年の全国中学校大会優勝メンバー。1年生ながらギャップを巧みに突く動きなどで存在感を放っている。鈴木は木脇から「シュートセンスや相手見てプレーするところとか学ぶところがある」と自身の自覚を高め、成長にも繋げてきた。


 鈴木は全国でさらにレベルの高いDFたちからゴールを奪う意気込みだ。「まだまだ強いDFが全国にいっぱいいるので、それを跳ね除けて決められるくらいの選手に変わっていきたいと思います」


 堅守・市立船橋戦からスタートする選手権。帝京のFWとして選手権優勝を経験している名将・早稲田一男監督も「仕事はしてくれているし、匂いを感じさえてくれるようなプレーをしてくれている」と評するエースが、臆することなく市船ゴールへ向かい続けて、歓喜をもたらす。