昨年に外国人監督としては初のJ1通算200勝を達成した名将、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任して4年目となる今シーズン。昨シーズンまでのメンバーをベースとし、継続性のある戦いで上位進出を目指していく。「まずは昨年の成績を上回り、そのなかでさらに上、そしてタイトル獲得なども視野に入れていきたい」と、指揮官は意気込む。


 大きな注目点となるのは、やはり戦術面だ。北海道コンサドーレ札幌は昨シーズン途中から徹底したマンツーマンディフェンスを採用し、ハマった試合では面白いように相手ボールを奪取し、そこから鋭くゴールへと雪崩れ込んでいった。とりわけ、第26節の川崎フロンターレ戦は見事だった。全員がピッチ全体で粘り強いマンマークを行い、川崎お得意のパスサッカーを完全に封じて2−0のスコアで勝利。優勝した川崎がまったくといっていいほど何もできない試合を演じてみせたのだ。


 昨シーズンは中断期間があった影響で過密日程が続いたこともあり、運動量やスタミナが求められるこの戦術を取り入れたシーズン当初や、気温が高い時期はなかなか十分に機能せず、思うように勝ち点が得られず苦しい期間もあった。しかし、そうしたなかでも我慢強く継続したことで着実に形となっていったため、今シーズンにいい流れで繋がるはず。もちろん他チームから研究もされるだろうが、そうしたものに対してどのように挑んでいくのかもまた、楽しみな部分である。


 オフの戦力補強でも、マンマーク戦術をレベルアップさせるための選手獲得が施されている。ザスパクサツ群馬から加入の岡村大八はパワーと俊敏性を兼ね備えたDFであり、FC東京から加入の柳貴博はセンターバックだけでなく両翼としてもプレーができるランニングスピードを持った選手。両者ともに対人守備に強みを持っているため、独特な戦術にもスムーズにフィットすることだろう。


 攻撃陣の補強に目を向けても、天才MF小野伸二の復帰や、独創的なプレーを見せるアタッカーである青木亮太の加入はチームのレベルを底上げするだろう。ナイジェリア代表経験を持つガブリエルも迎え入れており、彼らが新天地でどのように存在感を強めていくのか楽しみなところだ。


 チームとしての志の高さもまた、現在の札幌の魅力的な部分だろう。今シーズン、上位浮上を目指していくなかでベテラン、若手問わずどの選手も「タイトル獲得」を口にする。昨シーズンは現体制ワーストとなる12位に終わったものの、新戦術が洗練されていった終盤戦は好成績を収めていただけに、確かな自信を手にこの2021シーズンに挑めているということなのだろう。期待値は高まるばかりだ。


◆【KEY PLAYER】35 小柏剛

 キープレーヤーとして期待したいのが、明治大学から加入したルーキーFWの小柏剛だ。


 昨シーズンのJリーグでは大卒ルーキーの活躍が目覚ましく、札幌でも田中駿汰、高嶺朋樹、金子拓郎といった大卒ルーキーが躍動した。そうしたこともあって今シーズンも大卒ルーキーのプレーぶりが注目されることだろうが、「昨年のルーキーと比較されるかもしれないですが、負けるつもりはないです」と、小柏は力強く語る。昨シーズン既に特別指定選手としてJリーグの舞台でプレーをしていることや、一昨年に前出の田中ら3選手とともにユニバーシアードで金メダルを獲得していることもあり、「比較的早くチームに溶け込めたと思います」とも続けている。


 前線のポジションは層が厚く、能力の高い選手が揃っている状況だが、小柄ながらも鋭く力強いドリブルを武器に背番号35は開幕スタメンを虎視眈々と狙っている様子だ。ちなみにこの小柏、昔から寿司が大好物とのことで、「北海道には美味しいお寿司屋さんがあちこちにたくさんあると聞いています」と、今年から新たに始まる北の大地での新生活を楽しみにしている模様だ。


文=斉藤宏則