開幕を間近に控えた東京オリンピック。自国開催となるU−24日本代表は、吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航と“史上最強”のオーバーエイジ(OA)選手を招集することに成功した。


 そこで今回は、出場各国のOA枠での招集選手を紹介する。


※所属クラブは7月20日現在

[写真]=Getty Images


■グループA


◆▼日本

吉田麻也(DF/32歳/サンプドリア)

酒井宏樹(DF/31歳/浦和レッズ)

遠藤航(MF/28歳/シュトゥットガルト)


 フル代表でも主力としてプレーをする3選手がU−24日本代表に加わった。“史上最強”のOAトリオといっても過言ではないだろう。またいずれも五輪経験者であることも心強い限り。吉田は2008年北京五輪に19歳で参加し、2012年のロンドン五輪では今回と同じくOA枠でキャプテンとして参加。酒井も4強入りしたロンドン五輪に出場。遠藤は2016年のリオ五輪で主将を務めた。


◆▼南アフリカ

ロンウェン・ウィリアムズ(GK/29歳/スーパー・スポート・ユナイテッド)


 ブライトンのスピードスター、パーシー・タウを含め、クラブからの招集拒否が相次いだ南アフリカ。さらに13日には招集メンバーの5人が健康上の理由により参加取り止めになったことが発表されたが、その一人がOA枠として招集されていたケープタウン・シティのDFアブバカー・モバラ(27歳)だった。2016年のリオ五輪では全3試合にフル出場したモバラは、その経験を生かして今大会では中心選手として活躍が期待されていた。最終的にOAは、A代表でも正GKを務めるウィリアムズだけとなった。


◆▼メキシコ

ギジェルモ・オチョア(GK/36歳/クルブ・アメリカ)

エンリ・マルティン(FW/28歳/クルブ・アメリカ)

ルイス・ロモ(MF/26歳/クルス・アスル)


 A代表の3選手を、現在開催中のゴールドカップではなく東京五輪のメンバーに入れたところに本気度が伺える。GKオチョアはワールドカップを4度も経験し、直近の2大会では正GKを務めたメキシコの守護神。2011年から3シーズンはフランスのアジャクシオに所属し、リーグ1で112試合に出場した経験も持つ。2004年のアテネ五輪では19歳でメンバー入りをしながらベンチを温めるだけに終わったオチョアがチームの支柱となるだろう。なお、オチョア、ロモ、マルティンの3選手はA代表として昨年11月にオーストリアで行われた、日本代表との親善試合に揃って出場。2−0の完封勝利を収めている。


◆▼フランス

テジ・サヴァニエ(MF/29歳/モンペリエ)

フロリアン・トヴァン(MF/28歳/ティグレス)

アンドレ・ピエール・ジニャック(FW/35歳/ティグレス)


 フランスは初戦で対戦するメキシコのクラブ、ティグレスに所属するジニャックとトヴァン、さらにモンペリエでプレーをするサヴァニエを招集した。EURO2016の準優勝メンバーであるベテランFWジニャックは、6年前からメキシコでプレー。“メキシコ愛”が強く、東京に出発する前には同国を相手にゴールを決めても「喜ばないと思う」と語っていたほどだ。とはいえ、相手チームを知り尽くすジニャックの存在はフランスにとっては心強い限りだ。また昨季までマルセイユで酒井宏樹のチームメイトだったトヴァンは、2018年のワールドカップに加え、2013年にはU−20W杯でも優勝を経験している。大舞台で強さを発揮してくれるはずだ。


■グループB


◆▼ニュージーランド

ウィンストン・リード(DF/33歳/ウェストハム)

クリス・ウッド(FW/29歳/バーンリー)


 ニュージーランドのOA選手はプレミアリーグのファンにはお馴染みの2選手だ。2010年からウェストハムに所属するリードは、ニュージーランド生まれのデンマーク育ち。U−21まではデンマーク代表でプレーをしていたが、A代表では母国を選択。2010年ワールドカップでは全3試合に出場し、初戦スロバキア戦でゴールもマークした。2012年にはクラブに専念する為にロンドン五輪への参加を拒否したリードにとって、これが初の五輪となる。一方、2012年のロンドン五輪でもゴールを決めているウッドの参加は、チームにとって頼もしい限りだ。


◆▼韓国

パク・ジス(DF/27歳/金泉尚武)

ファン・ウィジョ(FW/27歳/ボルドー)

クォン・チャンフン(FW/27歳/水原三星ブルーウィングス)


 所属する北京国安から許可が出ず、当初招集されていたDFキム・ミンジェが不参加に。韓国サッカー協会は16日に、予備登録メンバーに入っていたDFパク・ジスと入れ替えたことを発表した。残り2枠はFWファン・ウィジョとMFクォン・チャンフン。現在はボルドーでプレーをするファン・ウィジョは2017年から2019年までガンバ大阪に所属し、2018年のJリーグベストイレブンに選ばれた日本でもお馴染みの選手。2018年のワールドカップには直前にアキレス腱を負傷して参加できなかったクォン・チャンフンは、ディジョンとフライブルクでプレーをしてきた実力者だ。


◆▼ホンジュラス

ブライアン・モヤ(MF/28歳/プリメロ・デ・アゴスト)

ホルヘ・ベングチェ(FW/25歳/オリンピア)


 ホンジュラス代表の公式ツイッターは17日、OAの一人であるMFモヤが、急性虫垂炎で緊急手術を受けたことを発表した。2020年夏からアンゴラの強豪、プロメロ・デ・アゴストでプレーをする28歳の攻撃的MFの欠場は免れないかと思ったが、モヤは19日にはチーム練習に合流する鉄人ぶりを発揮。開幕戦に出場できるか否かは微妙だが、招集時に「歴史を作りたいという気持ちでいっぱいだよ。夢が叶いますように」と語っていたモヤの熱い思いはチームメイトに伝わっているはずだ。モヤと共にOA枠に選ばれたベングチェは、昨季はポルトガルのボアヴィスタにシーズンローンで加わり経験を積んだFWだ。


◆▼ルーマニア

フロリン・シュテファン(DF/25歳/無所属)


 無所属であったことが功を奏してシュテファンがルーマニア代表のOA枠を獲得した。6月末に東京五輪に臨むメンバーを発表したルーマニア代表。しかしその後、複数の選手が所属クラブの要請により参加を辞退。5月にシェプシとの契約延長を拒否して退団していた左サイドバックは、五輪参加を禁じるオーナーの存在がなくてラッキーだったと『FRF TV』の取材で語っている。2カ月間以上も公式戦でプレーをしていないことが懸念材料となるシュテファン。ただ、今大会の予選にあたるUEFA U−21欧州選手権2019で4試合中3試合に出場しており、ミレル・ラドイ監督の戦術は叩き込まれている。


■グループC


◆▼エジプト

モハメド・エル・シェナウィ(GK/32歳/アル・アハリ)

アハメド・ヘガジー(DF/30歳/アル・イテハド)

マフムード・ハムディ(DF/26歳/ザマレク)


 国民的英雄、モハメド・サラーの招集はリヴァプールから許可が下りずに断念したエジプト。OA枠にはA代表のGKエル・シェナウィと、同センターバックの2人、ヘガジーとハムディを招集した。中でも注目は唯一の“海外組”となるヘガジーだ。現在はサウジアラビアのアル・イテハドでプレーをするヘガジーは、過去にはフィオレンティーナやウェスト・ブロムウィッチでプレーをした経験も。2018年のワールドカップで全3試合にフル出場。準々決勝で日本に0−3で敗れた2012年のロンドン五輪でも全試合にフル出場している。


◆▼スペイン

ダニ・セバージョス(MF/24歳/レアル・マドリード)

ミケル・メリーノ(MF/25歳/レアル・ソシエダ)

マルコ・アセンシオ(FW/25歳/レアル・マドリード)


 マンチェスター・CのMFロドリとFWフェラン・トーレスの招集はクラブ側から拒否されたものの、EURO2020に参加した選手を6人も選出するなど、ほぼベストメンバーをそろえることに成功したスペイン。OA枠にはA代表レベルであり、年代的にも今回の五輪世代と近いレアル・マドリードのMFダニ・セバージョス、同FWマルコ・アセンシオ、レアル・ソシエダのMFミケル・メリーノを招集。3選手ともEURO2020ではメンバー外だっただけに、今後の招集に向けてもモチベーションは高いはずだ。


◆▼アルゼンチン

ヘレミアス・レデスマ(GK/28歳/カディス)


 アルゼンチンのフェルナンド・バティスタ監督がOA枠として招集したのはカディスのGK“コナン”・レデスマ。今年3月のU−24日本代表との2連戦でいずれもゴールを守っており、予想通りの選出だ。ただ予想外だったのは、OA枠での招集が1人だけだったこと。A代表の主力はコパ・アメリカに参加していたため、参加することは叶わなかったようだ。OA枠が導入されて以降、リオ五輪を除いた出場3大会でOA枠を全て活用してきたアルゼンチン代表。銀メダルを獲得した1996年大会ではロベルト・センシーニ、ホセ・チャモ、ディエゴ・シメオネ、金メダルに輝いた2004年はロベルト・アジャラ、キリ・ゴンサレス、ガブリエル・エインセ、2008年はフアン・リケルメ、ニコラス・パレハ、ハビエル・マスチェラーノと超主力級をそろえていた。


◆▼オーストラリア

ミッチェル・デューク(FW/30歳/アル・タアーウン)


「オーバーエイジの選手を派遣してもらえるか確認するのに、30本から40本の電話をかけたが、良い返事は3つだけだった」と嘆いたグレアム・アーノルド監督。実際に招集したのはセントラル・コースト・マリナーズのDFルオン・トンギクとデュークの2人だったが、“3日間”だけオーバーエイジだったトンギクはその後、参加を取りやめに。OA枠はサウジアラビアのアル・タアーウンに所属する30歳のFWだけとなった。デュークは2015年から2018年まで清水エスパルスに所属し、J1で82試合、J2で7試合に出場。開幕2試合を戦う札幌ドームでも2試合に出場した経験を持つ。


■グループD


◆▼ブラジル

サントス(GK/31歳/アトレチコ・パラナエンセ)

ダニエウ・アウヴェス(DF/38歳/サンパウロ)

ジエゴ・カルロス(DF/28歳/セビージャ)


 連覇が期待されるブラジルU−24代表のOA枠には、サンパウロのDFダニエウ・アウヴェスが含まれた。バルセロナ、ユヴェントス、パリ・サンジェルマンと欧州のビッグクラブで長年に渡って活躍した38歳のDFは、最年長選手として今大会に参加する。クラブとセレソンで数々のタイトルを獲得してきた百戦錬磨のD・アウヴェスだが、五輪に参加するのは今回が初めて。「チンバウ(サンバで使われる打楽器)」を日本に持ち込んでいる姿が激写されており、チームの盛り上げにも一役買うつもりのようだ。アトレチコ・パラナエンセのGKサントスと、セビージャのレギュラーCBジエゴ・カルロスが残り2枠を埋めている。


◆▼ドイツ

ナディエム・アミリ(MF/24歳/レヴァークーゼン)

マクシミリアン・アルノルト(MF/27歳/ヴォルフスブルク)

マックス・クルーゼ(FW/33歳/ウニオン・ベルリン)


 選手自身やクラブの要望による辞退により、22名まで登録可能な今大会を18名で臨むことになったドイツU−24代表だが、OA枠は全て埋まった。アルノルトとアミリはシュテファン・クンツ監督の下で2017年のU−21欧州選手権を制覇したメンバー。アルノルトはこの大会でキャプテンも務めていた。またアミリは2019年の同大会でも再びクンツ監督と共に戦い準優勝。両者の招集は自然な流れと言えるだろう。残り1枠はウニオン・ベルリンで遠藤渓太と共にプレーをする33歳のFWクルーゼ。昨季は負傷で2カ月離脱したにもかかわらず、リーグ戦出場22試合で11得点5アシストの結果を残している。


◆▼コートジボワール

エリック・バイリー(DF/27歳/マンチェスター・U)

フランク・ケシエ(MF/24歳/ミラン)

マックス・グラデル(MF/33歳/シヴァススポル)


 欧州のクラブに所属する3選手をOAとして招集することに成功したコートジボワール監督のエダラ・スアリーオ監督。3選手の選出理由について、「まず彼らを最初に選んだ。それぞれのラインにリーダーが欲しかったからだ」と説明。言葉通り、センターバックのバイリー、セントラルMFのケシエ、そしてウィングやFWでプレーをするグラデルと、各ラインにA代表でもレギュラーとしてプレーをする選手を1名ずつ招集した。コミュニケーション力が高く、リーダーシップに優れた3選手を中心に、同国史上初のメダル獲得を目指す。


◆▼サウジアラビア

サルマン・アル・ファラジ(MF/31歳/アル・ヒラル)

サレム・アル・ドサリ(MF/29歳/アル・ヒラル)

ヤシル・アル・シャハラニ(MF/29歳/アル・ヒラル)


 五輪には1996年のアトランタ大会以来、6大会ぶりの参加となるサウジアラビア。同国リーグの名門、アル・ヒラルの3選手がOAでのメンバー入りを果たした。3選手とも2018年のロシア・ワールドカップで全3試合にフル出場した同国代表のエース級の選手。中でも注目はA代表とアル・ヒラル、さらに今回の五輪代表でもキャプテンを務めるMFアル・ファラジだろう。日本代表は10月にワールドカップ予選でサウジアラビアと対戦する。主力となる彼らのプレーは要チェックだ。


(記事/Footmedia)