25日に行われた国際親善試合でアイスランド女子代表と対戦したなでしこジャパンは、0−2で池田太新体制の初戦を落とした。


 アイスランドに決定機をほとんど作らせてもらえなかった一方、日本も積極的な守備で相手の攻撃をある程度、抑え込むことができていた。しかし、14分と71分に失点した場面は、試合前から警戒していた形でゴールネットを揺らされ、明確な課題を突きつけられる90分間となってしまった。


 14分の先制点の場面は中盤からアイスランドの右サイドに展開され、FWスベインディス・ジェーン・ヨンスドッティルに単独突破から力強いシュートをねじ込まれた。71分の2失点目はディフェンスラインからのロングボールが起点となり、再びスベインディス・ヨンスドッティルが右サイドに抜け出す。カバーに入っていたMF長谷川唯を振り切って折り返すと、最後は途中出場のFWベルグリンド・ビョルグ・ソルバルズドッティルが押し込んだ。サイドへの大きな展開を使っての攻撃が2つのゴールにつながった。


 アイスランドを率いるソルステイン・ハルドルソン監督は試合後の会見で「非常にタフな試合でした」と90分間を振り返るとともに、攻撃面で狙い通りの形が出たことを誇っていた。


「まずは、ボールキープが必要だと思っていました。あとは忍耐強くチャンスを見つけて、チャンスを作り出すことが重要だと考えていました。ボールキープをしようとすると日本からプレスがかかることもわかっていたので、ディフェンスラインを高くして、(日本のディフェンスラインの)裏のスペースを活用する作戦でした。2つ目のゴールもロングボールから決まりましたが、私たちの意図がうまく結果に反映されたと思います」


 相手が自分たちの背後を突いてくる展開は、日本側も想定できていた。事前スカウティングの段階でピッチの縦横幅をダイナミックに使ってくるアイスランドの戦い方を警戒していたのである。


 池田監督は試合前の会見の中でこのように話していた。


「(アイスランドには)サイドにフィジカル的に強くてスピードのある選手もいるので、そういった(選手への)対応やクロスへの対応で、我々のコンパクトさと相手の広い展開からのスピードに対するやり合いは気をつけながらも、我々のストロングポイントを生かせればという考えはみんなと共有しています」


 なでしこジャパンにとって、サイド攻撃に対する守備は積年の課題であり、パワーやスピードを前面に押し出してくる他国代表の強みをいかに消すかは新体制でも重要ポイントの1つになっていた。練習でもサイドからのクロス対応に時間を割き、サイド攻撃には注意していたはずだった。DF熊谷紗希も試合前、次のように語っている。


「これまでもですし、今後もでしょうけれど、自分たちはサイドからやられることが多い中で、サイドを崩された時の守備は本当に簡単ではないです。特にアイスランドはサイドから攻撃してくるという分析も持った中で、そこでいかに守れるかが勝負を決めるなと。そういう中でのトレーニングだと思うし、もっともっとやっていかなきゃいけないことではあります。新しいことではないと思いますけど、引き続き、自分たちがしっかり守れるようにしていかなければいけないところなのかなと思います」


 アグレッシブに前線から相手のボール保持者にプレッシャーをかける狙いは体現できていたものの、それを剥がされると途端にピンチを迎える。アイスランド戦の2失点によって、積極的なプレッシングを続けるのか、一旦やめて陣形を整えるのかのバランスを整えていく必要性がより強調される形となった。いまは「前」への意識が強くありすぎるために、「後ろ」がややおろそかになっている感がある。それは10月の国内合宿で男子高校生相手に行った練習試合でも出ていた現象だ。


 アイスランド戦にセンターバックとしてフル出場したDF南萌華は、「チームとしても守備にいくタイミングを合わせて、ボールを奪いにいくのか、いかない時間帯なのかということを、もっと中でしゃべって共有しながらできればいい」と、ディフェンスラインから守備全体をコントロールすることの重要性を痛感している。


「個人的には確かにスピードのある選手に対して、今までずっと課題としてやってきて。(池田)太さんのサッカーではアグレッシブな守備をテーマとしてやれている中で、ボール保持者にちゃんとプレッシャーをかけている時は後ろの選手もプレッシャーにいけますし、背後の対応への意識を少しにして相手へ強くいけるところがあるので、ボールホルダーにプレッシャーがいけているか、いけていないかの判断は、ディフェンスラインがもっとしなければいけないし、いけていないときに背後のケアを全体としてしなければいけないと思います」(南)


 試合の中で攻撃も守備も常に適切な判断を下し、いかにメリハリをつけていくかは日本サッカーが抱える課題でもある。自分たちが主導権を持って展開に緩急をつけていくための共通認識を作っていけるかが、なでしこジャパンの次なるステップだ。


「全体として前からプレッシャーをかけにいくコンセプトの中で、時には『いかない時間』も作らなければいけないと話しています。(タイミングが)中で合わなかった時にああいう失点が起きてしまうと思うので。ディフェンスラインとしては前からプレッシャーをかけている分、背後にスペースがあるというのはもっと自覚しながらやっていかなければいけないと思いますし、一発でやられてしまうと、それまでの時間帯がすごくもったいなくなってしまう。ああいう1本での失点をなくしていけるように、ディフェンスラインとしてももっと背後のスペースを意識してプレーしなければいけないと思います」


 南が話しているような守備時の全体のバランスを、29日に行われるオランダ女子代表戦までに修正できるだろうか。いい守備からいい攻撃、というのはサッカーのセオリー的な部分になる。アイスランドよりも力のあるチームに対して、なでしこジャパンが相手の得意とする「広い展開」を抑え込んで積年の課題を克服するきっかけをつかめるかに注目したい。


取材・文=舩木渉