28日にフランスのパリで行われるチャンピオンズリーグ(CL)決勝では、リヴァプールとレアル・マドリードが対戦する。2018年決勝の再現となったこの対戦に先立ち、試合を左右するであろう4つのポイントを紹介する。


[写真]=Getty Images


◆1. ファン・ダイクのパートナーは?


 リヴァプールのオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイクは、14日に行われたFAカップ決勝のチェルシー戦で途中交代して以降、ピッチから遠ざかっていたが、CL決勝には間に合う見込みだ。そこで問題なのは、彼のパートナーを誰が務めるかだ。


 候補の一人は、今シーズンにライプツィヒから加入し、チームに素早く馴染んだフランス人DFイブライマ・コナテだ。ゴール後に日本の人気アニメ「進撃の巨人」のパフォーマンスを行うなど、大の日本アニメ好きとしても知られるコナテは、CL決勝が行われるパリの出身。実家がある11区から決勝の試合会場である『スタッド・ド・フランス』までは10kmも離れていないが、マリ移民の8人兄弟の7番目に生まれたコナテにとっては距離以上に遠い場所だった。コナテは14歳で実家を離れ、ソショーへ入団。そこからトップチーム、ライプツィヒを経て、この度リヴァプールの選手としてCL決勝という大舞台で『スタッド・ド・フランス』のピッチに立てるかもしれないのだから、モチベーションは高いはずだ。


 もう一人の候補、元カメルーン代表DFジョエル・マティプは、シーズンをとおして見事なパフォーマンスを見せ、2月にはプレミアリーグの月間MVPにも選ばれた。度重なる負傷に悩まされてきたマティプだったが、今シーズンは離脱もほとんどなく、公式戦43試合に出場。加入から6シーズン目にして最高の状態にあると言える。さらに、マティプには2019年のCL決勝に出場し、トッテナムの攻撃をシャットアウトしてクラブにビッグイヤーをもたらした実績がある。この大舞台では、そのような経験は大きな武器になるだろう。


◆2. ベンゼマ対サラー


 まさにワインのような存在だ。2021年12月に34歳となったレアル・マドリードのフランス代表FWカリム・ベンゼマは、今シーズン公式戦45試合で44ゴール。ここにきてキャリアベストの数字を叩き出しているのだ。ラ・リーガでは2位の選手に10ゴールの差をつけて得点王を獲得。CLでも11試合で15ゴールを決め、こちらも最多の数字となっている。決勝で2ゴールを決めれば2013−14シーズンにポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドが記録したシーズン最多17ゴールに並び、ハットトリックならばこれを更新することになる。CLでは、ラウンド16・セカンドレグのパリ・サンジェルマン戦から5試合連続得点中。地元フランスでこの記録を更新するとすれば、獲得が噂されるバロンドールも、間違いなく彼の手中に収まるだろう。


 一方、リヴァプールで最もゴールを量産しているのはエジプト代表FWモハメド・サラーだ。プレミアリーグでは23ゴール13アシストで得点王とアシスト王をダブル受賞。CLでも全体で4番目となる8ゴールを決めている。そんなサラーだが、この試合へのモチベーションは人一倍高い。4年前の決勝では、当時レアル・マドリードの最終ラインに君臨していた元スペイン代表DFセルヒオ・ラモスとの競り合いで肩を負傷し、前半30分で途中交代しているからだ。記者会見で「前回(4年前の決勝)と(プレミア優勝を逃した)22日のことを考えるとモチベーションは天井知らずだ」と語ったサラー。同じ会見で来シーズンの残留を明言したエースは、4年前のリベンジを果たし、自身2度目のビッグイヤーを獲得できるだろうか?


◆3. TAA対ヴィニシウス


 サイドでの攻防も見逃せない。なかでも最も注目すべきは、“TAA”ことリヴァプールのイングランド代表DFトレント・アレクサンダー=アーノルドと、レアル・マドリードのブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールのマッチアップだろう。


 高いキック精度を持つアレクサンダー・アーノルドはリヴァプールの大きな武器だが、守備での対応は批判されることも多く、昨シーズンのCL準々決勝・ファーストレグでレアル・マドリードに敗れた試合では、アレクサンダー・アーノルドの裏、もしくはセンターバックとの間のスペースへ何度もロングボールを送られ、そこから2失点を喫した。


 イギリスメディア『The Athletic』のマイケル・コックス記者は、この対決に潜む矛盾を指摘する。それは、ヴィニシウスを守備対応に追わせるためにアレクサンダー・アーノルドが高い位置を取るべきである一方、ヴィニシウスは世界でも有数のカウンターを得意とする選手だということだ。そこで重要なのはアレクサンダー・アーノルドをカバーするミッドフィルダーの存在だが、普段はイングランド代表MFジョーダン・ヘンダーソンがその役割を完璧にこなしている。問題は、コンディションに不安を抱えるブラジル代表MFファビーニョとスペイン代表MFチアゴ・アルカンタラが決勝に間に合わず、ヘンダーソンが中盤の底でプレーしなければならない時だ。その場合、カバーという面で最も適しているのは元イングランド代表MFジェイムズ・ミルナーだとコックス記者は主張している。


◆4. アリソン対クルトワ


『The Athletic』のリヴァプール担当記者ジェイムズ・ピアース氏が「チームには勝利をもたらせる選手がたくさんいるが、その中でも最も影響力が大きい」と語るのが、リヴァプールのブラジル代表GKアリソンだ。4年前の決勝では、ドイツ人GKロリス・カリウスのミスもあり、1−3で敗れたリヴァプール。その直後の夏にリヴァプールへと加入したアリソンは、正GKとして安定したプレーを披露し続けている。イギリスメディア『スカイ・スポーツ』で解説を務めるギャリー・ネヴィル氏が「リヴァプールの最後のピースはファン・ダイクではなくアリソンだった」と主張するほど欠かせない存在になっている。4年前の“弱点”だったポジションは、今やリヴァプールの立派な強みになった。


 一方で、レアル・マドリードのベルギー代表GKティボー・クルトワも世界最高峰のゴールキーパーであることは間違いない。レアル・マドリードでのCL制覇を「義務」だと語ったクルトワは、2013−14シーズンにアトレティコ・マドリードの選手として決勝を戦ったが、カルロ・アンチェロッティ監督率いるレアル・マドリードに延長の末1−4で敗れた。今やその時の敵はチームメイトとなり、30歳になった今、22歳で味わった雪辱を果たす絶好のチャンスがやってきた。


(記事/Footmedia)