国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長が、FIFAワールドカップカタール2022開催に先立ちスピーチを行った。19日にイギリス紙『デイリー・メール』がコメントを伝えた。


 20日のカタール代表vsエクアドル代表でついに幕を開けるカタールW杯。しかし、スタジアム建設に従事した移民労働者の人権問題、LGBTQ+コミュニティに排他的な文化、欧州のシーズン真っ只中となる開催時期など、カタールでのW杯開催の是非をめぐる議論が尽きることはない。


 インファンティーノ会長はスピーチの冒頭、カタールW杯への批判に言及。「今日、私はカタール人であり、アラブ人であり、アフリカ人であり、ゲイであり、障害者であり、移民労働者であると感じています。もちろん、私はカタール人でもなく、アラブ人でもなく、アフリカ人でもなく、ゲイでもなく、障害者でもありません。しかし、外国で外国人として差別され、いじめられるということがどういうことかを知っているから、そのように感じるのです。(スイスで育った)私は子供の頃、赤毛でそばかすがあり、イタリア系移民であることから、いじめられたことがあります。そのとき、どうしたでしょう? 友達になることです。非難したり、喧嘩したり、侮辱したりするのではなく、関わりを持つのです。これこそ、我々がすべきことなのです」と、独特の切り口で批判に反論した。


 さらにインファンティーノ会長は、「ヨーロッパは道徳的な教えを説く前に、世界中で3000年間やってきたことに対し、これからの3000年間謝り続けるべきです」ともコメント。西側諸国によるW杯批判は“偽善”だと形容し、カタールはヨーロッパ以上に移民労働者の問題に取り組んでいると主張した。


「カタールから何百万、何十億と稼いでいる欧州や西側の企業のうち、何社が移民労働者の権利を当局に訴えたのでしょうか? なぜなら、法律を改正すれば、利益が減るからです。しかし、私たちFIFAがカタールから得ている利益は、これらのどの企業よりもはるかに少ないのです。もしヨーロッパが本当にこの人たち(移民労働者)の運命を案じているのなら、カタールのように合法的なルートを作り、多くの労働者がヨーロッパに来て働くことができるようにすればよいのです。収入を減らしてでも彼らに未来と希望を与えるのです。このような一方的な道徳教育は、ただの偽善に過ぎません」


 移民労働者に関しては、少なくとも6500人以上がカタールで死亡しているとも報じられている。しかし、インファンティーノ会長は今年初め、カタール当局が独自に作成した「労働者福祉進捗状況報告書」に基づき、移民労働者の死者数を3名のみだと報告。人権団体からバッシングを浴びたが、今回も「私は3年前にここに来て、最初のミーティングから、移民労働者の問題に真っ向から取り組みました。2016年以降のここでの進歩をなぜ誰も認めないのか不思議です」と、カタールでの取り組みの正当性を主張している。


 カタールは同性愛者にとって最も危険な国の一つと位置付けられているが、インファンティーノ会長は「誰もが歓迎されることは、彼ら(カタールの主催者)も私も確認しています」と、LGBTQ+コミュニティの安全面は確保されていると強調。「もし、あちこちで反対のことを言う人がいても、それはその国の意見ではなく、FIFAの意見でもありません」と言葉を続けた。


 さらにインファンティーノ会長は「ワールドカップを見ないというファンもいますが、私は彼らが試合を見ると確信しています」とも語っている。「最近見た世論調査のように…ある国では、カタールだから、FIFAだから、悪い奴に見えるから、ワールドカップを見るのは良くないと言われています。でも、彼らは家に帰れば、もちろん試合を見ることになります。なぜなら、サッカーファンにとって、ワールドカップほど大きなものはないからです。50億人が史上最高のサッカーを見ることになりますし、史上最大の感動を見ることになります」


『デイリー・メール』紙は「FIFA会長が恥ずべきスピーチでカタールへの批判に突っかかる」と見出しを打ち、インファンティーノ会長を批判。また、イギリスメディア『スカイスポーツ』は「トーナメント直前の異常なスピーチ」、ドイツ紙『ビルト』は「スキャンダル」などとの反応を示している。