浦和レッズ一筋でプレーした鈴木啓太の引退試合が17日、埼玉スタジアム2002で開催された。浦和レッズでともにプレーしたREDS LEGENDSと日本代表として日の丸を背負って戦ったBLUE FRIENDSに分かれて行われた一戦は、前半にBLUE FRIENDSが3点をリードしながらも、後半にREDS LEGENDSの逆転弾を浴び、最後に追い付いて4−4と引き分けた。


 終盤にひと際スタンドを沸かせたのが、岡野雅行だった。86分にBLUE FRIENDSが得たPKの場面。この日、前半にBLUE FRIENDの一員として2ゴールを決めていた鈴木だったが、後半は無得点。絶好の見せ場を得た鈴木が、一度はREDS LEGENDSのユニフォームを脱ぎ、BLUE FRIENDSのユニフォームを着用する動きを見せる。しかし、ここでBLUE FRIENDSのベンチが動いた。


「岡田さんに『ここだろう』って言われて。『あー、はい』と」


 BLUE FRIENDSを率いた岡田武史監督が指示したのは、岡野の投入だった。


 久々の埼玉スタジアム2002でのプレー。スタートは、REDS LEGENDSとして右サイドで出場した。何度も出てくる右のスペースへのスルーパス。嫌が上にもスピードに乗った岡野のランニングに期待が集まる。しかし、頭では分かっていても、体が言うことを利かなかった。


「脳では全員を突破しているんですよ。でも、足がついてこない。本当はもっと蹴りドリとかいっぱいやりたかったんですよ。でも足が、蹴りドリができない。やっぱり(普段から)やっていないとダメなんですね(苦笑)。今日はね、MTGの時に言ったんですよ。スルーパス禁止! 絶対に禁止ね、って。なのにバンバン出てくる。お客さんも『岡野、走れー』って言っているから、もうクセなんでしょうね、昔の。走っちゃうんですよね」


 現役時代のような相手を置き去りにする走りは見られなかったが、それでも、味方とのワンツーから相手の背後を取るプレーでスタンドを沸かせた。33分にピッチを退くと、今度はBLUE FRIENDSの一員としてベンチに待機。そして極め付けが、この日一番の見せ場となったPKのシーンだった。


 岡田監督の指示で87分にピッチに入ると、真っ直ぐPKスポットへ。迷わず右足を振り抜くと、「外したらあれだけど、入れたので岡田さんのところに行こうと思った」と両手を広げながら猛スピードでベンチへ走り出した。そして、がっつりと岡田監督と抱き合った。岡田監督と岡野雅行。そう、まさに“あの日”を再現したわけだ。


「あそこでジョホールバルの再現ができるというね。この浦和でできたことがすごくうれしいです。岡田さんも察してくれて(ベンチから)出てきていただいてね。すぐに出てこられたので。良かったです」


 今回、鈴木啓太が考えた引退試合のテーマは“同窓会”。「やっぱり楽しいですね。久々に会っても、全然違和感なくて。みんな仲が良くて。埼スタでまたやっているっていうのが幸せでしたし、こういう素晴らしいところでやっていたんだなって改めて思えて良かったです」と昔を懐かしみつつ、楽しんだようだった。