前回対戦の記憶は苦い。湘南ベルマーレはJ2第16節、ホームにモンテディオ山形を迎え、後半アディショナルタイムに失点し、0−1で敗れた。


「悔しかった」岡本拓也は試合後、くだんの得点機で相手に寄せ切れなかった自身に厳しく矢印を向けていた。


「シンプルに最後のところで体を張るとかゴール前でやらせないとか、いつもの自分なら絶対にやることがあの時はできなかった。そこがなくなったら自分じゃない。自分が後ろを支えていかないといけないのに、最後ああいったシーンで体を張れなかったのは本当に責任感のなさというか、やらなければいけない立場の人間としてしっかり反省しなければいけない」


 あれから約2カ月、岡本は右ワイドを中心にプレーし、危険な芽をことごとく摘んできた。つねに正しいポジショニングからスタートすることを意識し、なにより自身の原点にかえって、そのパフォーマンスは攻守に安定感を増している。


「あそこがひとつのターニングポイントという感じはします」あらためて山形戦を思う。


「攻撃も守備もプレーが整理されてきたと感じるし、状況を見ながらプレーできるようになってきているのかなと思う」


 チームもまた球際や寄せ、両ゴール前の精度を見つめ直し、コミュニケーションを弛まず、プレーの判断を個々に磨く。状況に応じた戦いぶりも聡い。自分たちのスタイルは懐に携えながら、ゲームの流れに沿って我慢すべきを耐える。そうして失点は減り、攻撃的な思考のもとでリーグ最少失点を記している。


「そうなんですか」岡本はその事実に驚きを浮かべつつ、一方でこうも言う。


「リスクマネジメントがスムーズにできるようになってきたのかなと思います。きっとアキ(秋野央樹)はここにいてくれるだろうなとか、山根(視来)はこうだろうなとか、そういう共通意識がみんなのなかでできてきたのではないか。去年はイケイケで相手に大人の対応をされてしまうことも多かったけど、今年はイケイケだけじゃないよという、大人の対応ができるようになってきた感じがします」


 だがシーズンは折り返したばかり、道なかばの彼らに一喜も一憂もない。「楽な試合はひとつもなかったし、あらためてJ2の厳しさ、難しさを感じた。いい時も悪い時もたぶんまたあると思うから、そこでいかに自分たちの良さを出し、我慢しながら戦い続けられるか」岡本はそう語り、ふたたび山形と対峙する今節に目を向ける。


「相手は連敗していて気持ちの面で相当向かってくると思う。アウェイだけど受けないように立ち上がりからしっかり自分たちらしく戦いたいなと思います」


 機を捉えた攻撃参加でここまで3ゴールを挙げ、前節の東京ヴェルディ戦でも決定機を演出しているが、「しっかり守備して走って、そこからです」と自身のやるべきを口にする。チームも自身も、らしさを傾ける先に求める結果は待っている。


文=隈元大吾