伸び盛りのストライカーが、初戦でハットトリックを飾った。平成29年度全国高校総合体育大会のサッカー競技大会が29日に宮城県で開幕し、優勝候補の前橋育英高校(群馬)は7−0で三重高校(三重)を破って好スタートを切った。中でも存在感を示したのは、2年生の長身ストライカー榎本樹だ。CKからのヘディング、右からの低いクロスにフリーで抜け出してワンタッチシュート、さらに右からのクロスを豪快なヘディングで叩き込んで3ゴールを奪った。ゴール以外にも、184センチの長身を生かしたポストプレーなどでチームの大勝に貢献した。


 目標が高い分、大喜びをするわけではなかったが「細かいパス回しが上手い相手だということは分かっていたので、前線からプレスをかけて守備がはまって、良い流れになったと思います。ゴールは、来たボールが全部良かったので、合わせるだけでした。2点目を決めた時に、このまま行けば3点目も取れるんじゃないかと思って、狙っていました」と、榎本は好発進の手応えを話した。


 1年次には負傷に悩まされたが、今季は体の大きさと足下の柔らかさを武器に台頭。山田耕介監督も「彼は、柔らかい。高さがあって、ヘディングも弱くない。やっぱり、アイツは良いですね」と期待を隠さなかった。未完の大器と言える。現在のプレースタイルは、高校に入ってから作られたものだという。中学時代は、トップ下などのポジションで、前を向いてドリブルで打開をするプレーを得意としていた。希望した進路も、個人技に定評のある静岡学園高校(静岡)だった。しかし、セレクションで合格することはできず、声をかけてくれた前橋育英に進学。「育英に来てから、前でボールを収めることを求められることが多くなりました。やってみて、自分に合っているのかなと思いました」と最前線のポジションで味方からのボールを収め、攻撃の起点を作る仕事に目覚めた。かつては、足技の巧みな元ブラジル代表MFロナウジーショに憧れていたが、現在は、高校の先輩にあたる皆川佑介(サンフレッチェ広島)のプレーをよく見て研究している。


 今季の前橋育英は、前評判が高い。昨季の全国高校選手権を2年生主体で準優勝。左DFの渡邊泰基は、アルビレックス新潟への加入が内定しており、ほかにもプロからスカウトを受けている選手がいる。そんなタレント軍団の中で力を示して来ているストライカーは「3年生を優勝させたいし、来年のことを考えても、しっかりと経験を積みたいし、優勝を狙いたい。得点王を狙って頑張りたいと思います」と意気込んだ。前橋育英は、翌30日に行われる2回戦で東海大相模高校(神奈川)と対戦する。


取材・文=平野貴也