7月29日から7月31日までの3連戦を経て、全国高校総体(インターハイ)の準々決勝に臨む8校が出そろった。


 前年度に続いて“夏の8強”に名を連ねたのは前年度優勝の市立船橋(千葉2)、同準優勝の流通経済大柏(千葉1)の2校のみ。前年度の8強に残った都道府県代表に与えられるシード権を持っていた高校で勝ち残ったのも、この2校のみとなった。その他は長崎総科大附(長崎)、前橋育英(群馬)、京都橘(京都)、日大藤沢(神奈川2)、旭川実業(北海道2)、関東第一(東京1)という顔ぶれ。いずれも実力校であり、熱戦の予感は十分だ。


 王者・市立船橋と対するのは2年ぶり2度目の4強進出を狙う関東第一。このカードは昨年の2回戦でも実現しており、このときは関東第一が力の差を痛感させられるような試合内容で0−1と敗北。組み合わせ決定からそのリベンジを意識しての勝ち残りだったが、それが実現したことになるわけで、まさに勝負の一戦だ。対する市立船橋は下級生も多いチーム編成の中で今季リーグ戦では残留争いに巻き込まれるなど苦しい戦いを強いられていた。だが、大会前から大型FW福元友哉が殻を破り始めた印象もあり、チームとしてもようやくブレイクスルーの可能性を感じさせている。


 流経大柏に初の8強進出となった長崎総科大附が挑むカードも熱い。長崎総科大附を率いる熟練の指揮官・小嶺忠敏監督は「(流経大柏の監督である)本田(裕一郎)くんには10点以内で勘弁してもらうようにお願いしておくよ」とおどけてみせたが、実際にはそんなゲームにはならないだろう。優勝候補常連の流経大柏を前にしても、大会最注目のストライカー、U−19日本代表FW安藤瑞季が引っ張るチームには対抗できるだけの地力がある。


 アルビレックス新潟内定のDF渡邊泰基以外にもプロと大学のスカウトがそろって注視するタレント軍団の前橋育英は、3回戦で優勝候補の青森山田を下し、久々の栄冠を視界に捉える。これに挑むのは、意外にも夏の大会は初の8強進出となった京都橘。FW岩崎悠人(→京都サンガF.C.)が卒業した今季はこれまでのカウンター型からポゼッションを重視するスタイルへの転換を図っており、消耗戦となる夏の総体でその成果が出た形となった。ボールは疲れないというわけだ。


 最後の1カードはブロックで本命視されていたシード校をそれぞれ倒してきた2チームの対戦となる。日大藤沢は2回戦で昌平(埼玉)を破り、旭川実業は3回戦で静岡学園(静岡)を下しており、二つのサッカー王国代表校を打ち倒した両校の勝ち残りとなった。日大藤沢は神奈川第2代表だが、「総体の神奈川は第2代表のほうが上にいく」という不思議なジンクスがあり、実際に11年度王者の桐蔭学園や12年度優勝の三浦学苑も第2代表だった。ただ、決してまぐれ勝ちではなく、しっかりした地力のあるチーム。FW陣の層が厚いのも印象的で、ベンチから出てくる切り札、FWギブソンマーロンやFW三田野慧が試合の流れを一気に変えてくる。


 そして、対する旭川実業も北海道の第2代表だが、今大会最大のサプライズとなった。伝統的に堅守の印象が強く、実際に守備陣からプロ選手を複数出しているチームでもあるのだが、今大会は2年生エースのFW西村歩夢に加え、両翼から個人で打開できる選手がおり、特にカウンターにかかったときの破壊力は抜群。伝統の守備も188センチの大型GK中塚勝俊を軸に手堅い。初の8強だが、今後を含めて大きな可能性も感じる8強入りだろう。


「ここまで来たら優勝しかない」という定番のフレーズはこの8校すべてに言う資格があるだろう。総体では“おなじみ”にもなっている決勝千葉対決がまたも実現するのか、それを阻むフレッシュなチームが出てくるのか。「一番面白い」と評されることも多い準々決勝の戦いは、8月2日に宮城県内にて開催される。


取材・文=川端暁彦