25年目のシーズンを迎えたJリーグ。今季はスカパー!を中心としたテレビ視聴からDAZN(ダ・ゾーン)が展開するネット配信視聴へと移行し、リーグ戦も1シーズン制が復活するなど、大きな変化があるワールドカップ前年のシーズンを戦っている。


『サッカーキング』ではJリーグ、各クラブを愛すると公言する人たちに、その魅力や観戦術などを聞く不定期連載をスタート。改めてJリーグの魅力について聞いていく。


 第3回は2013年に茨城県出身ながら、大阪府を拠点とするアイドルグループ「NMB48」にドラフト会議で加入し、現在はチームMの副キャプテンを務める磯佳奈江さん。自身も選手としてプレーし、小学校時代には京川舞(INAC神戸レオネッサ)ともチームメートで全国大会ベスト8に輝いた。サッカー少女からアイドルへと転身した磯さんに、愛する地元のクラブ・鹿島アントラーズの魅力について聞いた。


インタビュー=小松春生

写真=波多野匠


◆■サッカーのおかげで、今も家族ぐるみでバスを借りて観戦に

―――まず鹿島を好きになった理由からお聞きします。茨城県ご出身で、Jリーグが開幕した1993年生まれということで、鹿島が好きになる理由はたくさんありますね。


磯佳奈江(以下、磯) そうですね。お父さんがサッカーをやっていて、Jリーグが開幕して、ちょっとしてからカシマスタジアムに連れて行ってくれて。気づいたら鹿島が好きになっていました。


―――今日は鹿島グッズも持ってきていただきました。サインが入っているものもありますね。


磯 バッグは小学校の時に使っていて、これを持ってサッカーの練習に行っていました。「磯」って書いてあります(笑)。タオルマフラーも巻いて小学校へ行っていました。めっちゃボロボロですけど、アウェーのユニフォームにはエウレル選手と柳沢(敦)選手のサインが書いてあります。ちょっと前にもクラブハウスで石井(正忠)前監督がいらっしゃって、サインをいただきました。家にもグッズがたくさんあって、その部屋もあったりしました。


―――当時、友達も鹿島好きが多かったのではないですか?


磯 そうですね。サッカーをやっている子も多かったですし、やっぱり鹿島アントラーズファンが多かったです。家族ぐるみで観戦したり、今でもバスを借りてみんなで行ったりしています。サッカーのおかげで今も定期的に会ったりしていますね。


―――磯さんは鹿島が好きだったという以外にも、ご自身でプレーもされていたんですよね。


磯 小学3年生から中学3年生までやっていました。お兄ちゃんがサッカーを始めたことで私も試合を見に行ったりしたんですが、気づいたらボールを蹴るようになっていて、そのままチームに入りました。小学校の時は女の子だけのチームでプレーしていて、全国でベスト8までいったこともあるんです。


 中学校はクラブではなく、部活でやっていて、男の子と一緒に3年生まで走り込みとかも含めて同じメニューだったので大変でした。でも、楽しかったです。主に右サイドバックをやっていることが多かったんですけど、試合では相手に削られることもあって(笑)。今でも足に傷が残っています。


―――小学校の時は京川舞選手とチームメートだったということで。


磯 学年も同じでした。私がNMB48に入って大阪に移ったので、今は大阪と神戸で近くなって、試合を見に行きますし、コンサートを見に来てくれることもあって。ご飯を一緒に食べに行くこともあります。舞は最初、「サッカーをやっている姿しか知らないから、アイドルとして踊っている姿を見て、衝撃を受けた」と言っていましたね(笑)。お互いに「仕事が一緒にできたらいいね」といった話もしています。


◆■クラブワールドカップは夢のようでした

―――記憶している限りで一番初めの鹿島の思い出はありますか?


磯 これはお父さんに聞いた話なんですが、私が生まれてすぐ、練習場に連れて行ってくれたみたいで、現役時代の秋田豊さんに、ほっぺにチューしてもらったらしくて。自慢げにお父さんが言っていました(笑)。現役時代のプレーはよく見ていましたが、直接お会いしたことはそれ以来ないですね。あとは鹿島のマスコットのめっちゃ大きなぬいぐるみを買ってもらって、いつも一緒に過ごして、一緒に寝たりしていました(笑)。ファン感謝デーのようなイベントにもよく行っていました。


 直接鹿島の話ではないですが、日韓ワールドカップをカシマスタジアムで見た記憶もあります。確かドイツvsアイルランドで、生で見たオリバー・カーン選手はすごかったです! 鹿島とバルセロナが対戦した時、国立競技場にも行ったらしいです。ロナウジーニョが出ていたんですが、はっきりは覚えていないんです…。最近で覚えていることはスタジアムグルメのもつ煮が美味しいことです(笑)。


―――印象的な鹿島の出来事は何でしょう?


磯 最近だったら、レアル・マドリードとのFIFAクラブワールドカップ決勝です。仕事でどうしても行けなかったんですけど、もう夢のような大会でした。ちょうどスポナビライブさんでリーガ・エスパニョーラの番組に出させていただき始めたタイミングでもあったので、さらにそのスゴさを感じました。レアル・マドリードを本気にさせたんじゃないかという試合で、その本気にさせたのが鹿島で。あそこまでいったら優勝してほしかったですけど、正直準優勝できるとも思っていなかったので。決勝戦の時は握手会中で、ファンの方もサッカーが好きな方が多くて、リアルタイムで私も結果を知りたいと思っていたら、握手しながら随時教えてくれて(笑)。家族でもその時のことを今でも話したりします。


―――鹿島と言えばやはり“常勝”というイメージがあります。


磯 リーグ戦三連覇をしたシーズン(2007〜09)は印象的です。私もサッカーをしていた時でしたし、よく見に行っていました。


―――スタジアムではどのあたりで観戦することが多いですか?


磯 小さい頃はゴール裏が多くて、お兄ちゃんと一緒にチャントをしたり。柳沢選手が好きだったので、「ヤナーギサーワー」はよく覚えています。大きくなってからはお父さんと一緒にゴール裏の少し横のところで見たり、中央で見ることが多くなりました。


―――柳沢選手が好きになった理由は?


磯 単純にお兄ちゃんが13番をつけてプレーしていたからです。そこで「13番の選手は誰だ」となって、お兄ちゃんと一緒に柳沢選手を応援するようになりました。カッコよかったことも子どもながらに感じていたんだと思います。私はDFとしてプレーしていましたけど、点を取りたい気持ちもあったので、FWへの憧れもありました。守備では曽ヶ端準選手が好きで、ずっと守護神で「大きくてすごい」というイメージが強いですね。


―――ゴール裏で見ていた頃はいかがでしたか?


磯 楽しかったです。あとサポーターの方が熱くて優しいので、そういうところがいいなって。小さい時、クラブハウスで練習後に選手のサインをもらおうとしたことがあったんですけど、初めての経験だったので、端っこでなかなか声をかけられずにいたら、その様子を見ていた他のサポーターの方がペンやノートを貸してくれて、しかも、選手まで呼んでくれて。その時、本当に優しい方たちだと実感しました。


―――好きな選手では柳沢さんの名前を先ほどは挙げられましたが、現チームではいかがでしょう。


磯 昌子(源)選手ですね。昌子選手がいるから今の鹿島があるって感じもします。あとは私がDFだったので、余計に気になっちゃいますね。鹿島からの日本代表選手なので、今後もっともっと日本代表に定着してほしいですし、鹿島を引っ張ってほしいです。


◆■もっとJリーグにも女性ファンがいっぱい増えたら

―――茨城県や鹿嶋市の魅力を感じる部分はありますか?


磯 茨城の方は鹿島を応援していることが多いですね。もちろん水戸ホーリーホックもありますが、“オリジナル10”ということもあるので。おじいちゃん、おばあちゃん世代も好きですし、みんなで応援しようという気持ちがあるんだと思います。茨城県って、よく魅力度ランキングみたいなものでビリになっちゃうんですけど(笑)。それでも、頑張っている鹿島アントラーズから茨城を盛り上げよう、鹿島を応援しようという気持ちなんだと思います。


―――では、その鹿島アントラーズの魅力は何でしょう。


磯 とにかくサポーターが熱いことです。優しくて熱くて、みんなの一体感がすごい。みんなで勝利を目指していることが、サポーターからも伝わってくるし、チームも勝つところで勝ってくれるのが鹿島なんだと思います。


―――鹿島に限らず、Jリーグをもっといろいろな人に見てほしいという気持ちはありますか?


磯 はい、もちろんです。私自身も家族と見に行くことはありますが、一緒に行ってくれる友人がなかなかいなくて。そういう友人も増やしたいですし、女性に注目をしてもらいたいです。日本代表戦は女の子でも見に行くと思うんですけど、もっとJリーグにも女性ファンがいっぱい増えたらいいなって。


―――女の子目線での注目ポイントは何でしょう。


磯 イケメン選手ですね(笑)。例えば内田篤人選手はサッカーを知らない方でも認知されていると思うので、そこから知ってもらうことがいいと思います。あとは以前よりも女子サッカーが人気も知名度も上がっているので、「女の子でもサッカーができる」ということをもっと広められたらいいですね。


◆■サッカーと言ったら「磯佳奈江だ」と言ってもらえるように

―――今季の鹿島の戦いぶりはいかがでしょうか?


磯 序盤戦でホームの負けが多かったのが正直、痛いですね。ホームでは勝ってほしいです。あと、今季はユニフォームのセカンドがピンクに変わりましたけど、白がよかった(笑)。「白だと負けない」という伝説があって、だから「あれ? ピンクになっちゃったの?」と(笑)。今年は1シーズン制に戻ったので、開幕後は負けもありましたが、このまま最後まで頑張ってほしいです。


―――石井監督が退任し、大岩剛監督に交代するということもありました。


磯 石井さんにサインをもらいに行った時、一人ひとり丁寧に話しかけていて、全員にサインをしていたので、本当に良い方なんだなと思いました。結果を出していましたし、クラブW杯で準優勝という成績も残していたので残念です。でも、大岩監督になってからは、ほぼ勝利していますし、結果が全てなので、しょうがないのかなと思います。


―――今後の活動の目標を教えてください。


磯 まずはNMB48の選抜メンバー入りを目指しています。加入して4年目になりましたが、選抜にまだ一度も入ったことがなく、同期のメンバーが入ってみんな活躍していますし、やはり悔しいので。


―――選抜入りできない現実がありながら今まで頑張れていることに対して、サッカーの経験は生きていますか?


磯 NMB48は1人ずつ特技を持っている子や、ダンスも歌もうまい子がたくさんいます。私はダンスも歌もやったことがなくて。それでグループに入った時に「これはやばい」と思ったんですけど、そこで「サッカーがある」と思えたんです。なので、サッカーをやっていてよかったな、私にしかできない武器があってよかったなって思いました。サッカーができるアイドルは少ないと思いますし、「サッカーと言ったら磯佳奈江だ」と言ってもらえるようになりたいです。


―――サッカーではどういったお仕事をされたいですか?


磯 昨シーズンはリーガ・エスパニョーラの番組でアシスタントをさせていただきましたが、海外でもJリーグでもいいので、サッカーの情報を伝える番組をやらせていただきたいです。スタジオでもグラウンドからのレポーターでもなんでもやりたいです。最終目標は鹿島の応援番組や応援マネージャーのようなお仕事があれば、やってみたいです。それができれば一番幸せで、嬉しいですね。