攻守一体の妙味を発揮したFC東京U−18が「夏」を制した。8月2日、第41回日本クラブユースサッカー選手権(U−18)大会の決勝戦が味の素フィールド西が丘で行われ、浦和レッズユースを2−0で下した若き青赤軍団が2年連続4度目となる夏のタイトルを手に入れた。


 今年「も」強かったFC東京U−18。特に今大会は、J3リーグの中断期間に当たったおかげで大会途中からベストオーダーを組めたこともあり、よりオールラウンドな強さが印象的だった。ボールを保持して強く、崩しに掛かって強く、球際で戦って強く、我慢する時間帯を迎えて強く、選手層の厚みが問われても強く、酷いピッチ状態でもやっぱり強い。


 そんなFC東京を相手に決勝で対峙した浦和ユースは勇猛果敢に粘り、後半はむしろ彼らのペースになっていたかにも見えたのだが、79分にFW久保建英がこの試合唯一となるシュートを鮮やかに決めたことで、万事休す。ワンチャンスで決めるしかない展開になっても強かった。


 元より佐藤一樹監督は選手たちにオールラウンドな強さを求めてきた。「攻撃だけ、守備だけという考え方はしない」というのはこの指揮官が繰り返し言ってきたことで、強調したのは攻守一体の考え方だ。決勝の試合後には「攻撃面・守備面、それぞれの評価は?」という定番の質問が出たのだが、「申し訳ないけれど、それを分けて考えることはない」と一蹴した上で、チームコンセプトをこう解説した。


「ボールを持ち続けるのが攻撃とは思っていない。相手に攻めさせたほうが攻撃のチャンスが生まれることもある。こちらが攻め込んでいて奪われた瞬間にまた奪い返すのが一番チャンスにもなる。守備をしながらいかに攻撃に繋げるのかを考えている」


 攻守の切り替えを徹底して重視する考えはトレーニングにも反映されていて、攻撃の練習・守備の練習といった切り分けたやり方はしていない。必ずと言っていいほど、「切り替え」の要素が求められる。当然ながらこのFC東京U−18で求められる「技術」も、そうした中で発揮できる「技術」だ。「ドリブルだけ」「パスだけ」といった選手はお呼びではない。現代サッカーで求められるオールラウンド性を常に追求してきた。ダブルボランチとして圧倒的な存在感を見せたMF品田愛斗や平川怜は、中学時代には攻守のうち「攻」に偏った部分のある選手だった。しかし、この決勝で久しぶりに彼らを観た中学年代の指導者が驚くほど、攻守一体のプレーを体現できるようになっていたのも、こうした指導の賜物だろう。


 そして同時に、サッカーは人間がやるものだ。指導者と選手の関係性なくして、そうした要求は選手の心に通らない。佐藤監督は「観ていないようでも観ているようにしている。まあ、コソッと観るんです」と語っているのだが、時には選手側がビックリするほどに「観てくれている」という信頼関係を育ててきた。時には熱い胸の内を吐露して選手にぶつけることもあり、選手と監督の共感あってこそのサッカーだったことも強調しておきたい。


 準決勝で負傷して決勝に出られなくなってしまった「(DF坂口)祥尉くんのために戦う」(久保)という一体感がファイナルのピッチで表現されたのも、佐藤監督とスタッフ、選手たちが育ててきたチームスピリットがあったからこそ。徹底されたチームコンセプトとチームスピリットが合わさった結果が、「強すぎるFC東京」だった。


文=川端暁彦