神懸かったビッグセーブに、チームは何度も助けられた。2013年以来となる決勝進出の立役者は、間違いなく最後尾でチームを救った飯倉大樹だった。


「立ち上がりは思ってたよりうまくいっていたところがあるので、浮足だったというかハモン・ロペスのシュートが良かったというのが大半なんだけど、その後で追加点を許さなかったのが、今日のターニングポイントだったのかなと思う」


 開始11分に一瞬のスキを突かれ、ハモン・ロペスに豪快なブレ球シュートを決められてからは、常に劣勢に立たされた。後半だけは横浜F・マリノスのほうがシュート数は上回ったが、前半と延長の前後半を通して、柏レイソルに倍以上のシュートを打たれた。それでも、横浜FMは追加点を許さなかった。


 その中心にいたのが、飯倉だった。「ハモンのシュートの後の伊東(純也)くんのシュートだったかな? あれが入らなかったことで、まだ隙があるなと感じた。それに前半はある程度、柏に押し込まれるというのは予想していたから、集中力を切らさなければ後半にチャンスはあると思っていた」


 その言葉どおり、後半に投入された伊藤が効果的に攻撃にリズムを生み出し、69分には、その伊藤のゴールで同点に追い付いた。試合を振り出しに戻して1−1のまま延長戦に突入すると、飯倉のビッグセーブが光る。


 97分に小池龍太からのパスを受けた武富孝介が、DFをかわして至近距離でシュートを放つも、飯倉が体を投げ出して防いだ。これには立ち上がれずにいた飯倉に対し、スタンドから自然と飯倉コールが沸き起こるほどだった。そして延長前半の終了間際には、大津祐樹が放った2本のシュートを立て続けに防いでみせた。


 そして試合終了間際に見せた、キム・ボギョンのオーバーヘッドシュートを防いだシーンだ。


「あれはちょうどすごく集中していたし、ボギョンがオーバーヘッドするというのも、コースも、自分の中では『ここしかないかな』というのがある程度イメージできていた」


 本人は「ある程度、余裕を持って弾けたかな」と涼しい顔で振り返ったが、飯倉のビッグセーブがなければ今日の勝利はなかったに等しい。「今年1年は本当にずっと守って、相手が疲れてスペースができたところで勝負という形しかやっていない。逆に言うと、うちはそこにしか勝ちを生み出せないから、それは決勝でも崩れない。そこでどう耐えられるか、そこがキーポイントだと思います」。


 この日のヒーローは時折、笑顔を見せつつ、決勝を見据えた。