【▲ 相互作用銀河「Arp 248」(Credit: ESA/Hubble & NASA, Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA, J. Dalcanton)】

こちらは「おとめ座」の方向約2億光年先にある相互作用銀河の姿。銀河の名前は左上が「LEDA 36733」で、右下が「LEDA 36723」です(※)。1966年に天文学者のホルトン・アープがまとめた特異銀河(特異な形態を持つ銀河)のカタログ「アープ・アトラス」には、「Arp 248」として収録されています。

※…「LEDA」は1983年にリヨン天文台が作成した「リヨン-ムードン銀河系外データベース(Lyon-Meudon Extragalactic Database)」における名称であることを示しています。

相互作用銀河とは、すれ違ったり衝突したりすることで、互いに重力の影響を及ぼし合っている複数の銀河を指す言葉です。相互作用銀河のなかには潮汐力によって形が大きくゆがんでいたり、潮汐尾(潮汐腕、tidal tail)と呼ばれる星とガスでできた尾のような構造が形成されていたりするものもあります。Arp 248の場合も一目瞭然で、2つの渦巻銀河の相互作用によって1本の長い潮汐尾が形成されています。

実はArp 248は、研究に貢献した天文学者にちなんで「Wild's Triplet(ワイルドの三つ子)」とも呼ばれています。3番目の銀河である「LEDA 36742」はここには写っておらず、画像上方の視野外に位置しています。ちなみに、右下のLEDA 36723の周囲にも幾つかの銀河が写っていますが、これらはみなArp 248よりも遠くに位置しています。

この画像は、チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡の観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」を使って取得された画像(可視光線と近赤外線のフィルター合計3種類)と、「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」を使って取得された画像(可視光線のフィルター1種類)をもとに作成されています。DECamはその名が示すようにダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発された画素数約520メガピクセルの観測装置で、満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影できます。DECamによるダークエネルギー研究のための観測は、2013年から2019年にかけて実施されました。

またESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡のACSによる観測は、「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡や「アルマ望遠鏡(ALMA)」、それにハッブル宇宙望遠鏡自身による将来の詳細な観測の対象になり得る、興味深い天体の大規模なデータベースを確立させる取り組みの一環として実施されました。冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2022年10月31日付で公開されています。

 

関連:近付き渦巻く2つの銀河。ハッブルが撮影した“はと座”の相互作用銀河

Source

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA, J. Dalcanton ESA/Hubble - Hubble Inspects A Pair of Space Oddities

文/松村武宏