【▲ピンク色とオレンジ色の雲にも見える「ほ座」の壮大な超新星残骸の姿(Credit:ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: Cambridge Astronomical Survey Unit)】

【▲ピンク色とオレンジ色の雲にも見える「ほ座」の壮大な超新星残骸の姿(Credit:ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: Cambridge Astronomical Survey Unit)】

この天体画像を見て、あなたなら何をイメージしますか?

こちらは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が2022年10月31日付(ハロウィンの日)で紹介した、南天にある「ほ座超新星残骸(Vela Supernova Remnant)」の画像です。ESOはハロウィンにちなんで「ESOが巨星の亡霊を捉えた(ESO captures the ghost of a giant star)」というタイトルを付けており、解説文の冒頭でも「不気味なクモの巣? マジックドラゴン? それとも亡霊のかすかな足跡?」と表現しています。

超新星残骸は、太陽よりも8倍以上重い大質量星が起こした超新星爆発の後に観測される天体です。ほ座超新星残骸のうっすらとした雲のようなピンク色とオレンジ色の構造は、超新星爆発を起こして恒星としての生涯を終えた大質量星が残したものです。超新星の後には中性子星やブラックホールが残されることもありますが、ほ座超新星残骸には毎秒10回以上の速度で自転するパルサー(中性子星の一種)が残されているようです。

現在観測されているほ座超新星残骸は、超新星爆発から約1万1000年が経っているとみられています。超新星爆発が発生させた衝撃波は恒星の周囲にあったガスを圧縮し、よじれた糸のような複雑な構造を作り出します。この時に放出されたエネルギーによってガスが加熱されることで、このように明るく輝くのです。

この画像は地球から見た満月が9個入るほどの範囲を捉えていますが、ほ座超新星残骸は画像の外側にも大きく広がっています。ESOによると、ほ座超新星残骸は地球からわずか800光年しか離れておらず、地球に最も近い超新星残骸のひとつに数えられるとのことです。

【▲ほ座超新星残骸の一部を拡大した12のハイライト画像(Credit:ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: Cambridge Astronomical Survey Unit)】

【▲ほ座超新星残骸の一部を拡大した12のハイライト画像(Credit:ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: Cambridge Astronomical Survey Unit)】

ほ座超新星残骸を見事に捉えたこの画像は、ESOのパラナル天文台に設置されている「VLTサーベイ望遠鏡」(VLT Survey Telescope:VST)の広視野カメラ「OmegaCAM」を使って撮影されました。オリジナル画像の画素数は5億5400万ピクセルに達します。

2億6800万画素のOmegaCAMは、撮影時にさまざまな色(波長)の光を透過させるフィルターを用いることができます。今回は特定の紫外線・可視光線・赤外線を通す5つのフィルターを使って取得された画像が、マゼンタ・青・緑・赤の4色に着色された上で合成されました。超新星残骸のフィラメント状ガスや、その手前にある明るい青い星の輝きが、非常に精細に捉えられています。

また、ESOは、ほ座超新星残骸の中を飛び回っているかのような感覚になる動画も公開しています。もしもハロウィンを意識しなかったら、皆さんは何を連想するでしょうか?

 

 

Source

Video Credit: European Southern Observatory(ESO) Image Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: Cambridge Astronomical Survey Unit European Southern Observatory(ESO) - ESO captures the ghost of a giant star

文/吉田哲郎