【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影された矮小銀河「ウォルフ・ルントマルク・メロッテ(WLM)」の一部(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, and K. McQuinn (Rutgers University), A. Pagan (STScI))】

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で撮影された矮小銀河「ウォルフ・ルントマルク・メロッテ(WLM)」の一部(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, and K. McQuinn (Rutgers University), A. Pagan (STScI))】

こちらは「くじら座」の方向約300万光年先にある矮小銀河「ウォルフ・ルントマルク・メロッテ」(Wolf–Lundmark–Melotte、以下WLM)の一部を捉えた画像です。どこにその矮小銀河が写っているのか?と思われるかもしれませんが、WLMはこの画像全体を占めています。視野いっぱいに散らばった無数の星々の多くがWLMを構成する星であり、背景の幾つもの銀河はWLMを透かして見えているのです。

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡の「近赤外線カメラ(NIRCam)」を使って取得された画像をもとに作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、画像の取得時に使用された4種類のフィルターに応じて着色・合成されています(900nm:青、1.5μm:シアン、2.5μm:黄、4.3μm:赤で着色)。

ウェッブ宇宙望遠鏡によるWLMの観測を提案した研究チームの一員であるラトガース大学のKristen McQuinnさんによると、WLMはウェッブ宇宙望遠鏡が一度に多数の星を捉えつつ、個々の星を分離して観測できる絶妙な距離にあるといいます。

次に掲載するのはアメリカ航空宇宙局(NASA)が2020年1月まで運用していた「スピッツァー」宇宙望遠鏡の「赤外線アレイカメラ(IRAC)」を使って取得されたWLMの画像(左)と、ウェッブ宇宙望遠鏡による冒頭の画像(右)を比較したものです。従来の宇宙望遠鏡に対するウェッブ宇宙望遠鏡の優れた解像度が一目瞭然です。

【▲ スピッツァー宇宙望遠鏡の赤外線アレイカメラ(IRAC、左)とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam、右)で撮影された矮小銀河「ウォルフ・ルントマルク・メロッテ(WLM)」の一部(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, and K. McQuinn (Rutgers University), A. Pagan (STScI))】

【▲ スピッツァー宇宙望遠鏡の赤外線アレイカメラ(IRAC、左)とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam、右)で撮影された矮小銀河「ウォルフ・ルントマルク・メロッテ(WLM)」の一部(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, and K. McQuinn (Rutgers University), A. Pagan (STScI))】

加えて、WLMは私たちが住む天の川銀河やアンドロメダ銀河(M31)も含む局所銀河群の外れで比較的孤立していて、他の銀河と相互作用していないと考えられることから、銀河の形成と進化の理論をテストするのに適しているといいます。WLMのガスは水素やヘリウムよりも重い元素が乏しく、初期の宇宙で銀河を構成していたガスに似ていると考えられていることから、初期宇宙の小さな銀河における星の形成と進化を研究する上でWLMは興味深い対象だとMcQuinnさんは語っています。

ウェッブ宇宙望遠鏡が捉えたWLMの画像をプラネタリウムのドームに投影させてみたというMcQuinnさんは、まるでWLMにある惑星に立って夜空を見上げているような感動的な体験だったと振り返っています。色・大きさ・温度・年齢・進化の段階がそれぞれ異なるWLMの星々から背景の銀河までが捉えられているこの画像について、McQuinnさんは本当に素晴らしいとコメントしています。

冒頭の画像はアメリカ航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)、ウェッブ宇宙望遠鏡や「ハッブル」宇宙望遠鏡を運用するアメリカの宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)から、2022年11月9日付で公開されています。

【▲ 参考画像:ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)で撮影された矮小銀河「ウォルフ・ルントマルク・メロッテ(WLM)」。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で撮影された範囲は向かって左側の一部にあたる(Credit: ESO; Acknowledgement: VST/Omegacam Local Group Survey)】

【▲ 参考画像:ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)で撮影された矮小銀河「ウォルフ・ルントマルク・メロッテ(WLM)」。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で撮影された範囲は向かって左側の一部にあたる(Credit: ESO; Acknowledgement: VST/Omegacam Local Group Survey)】

 

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Source

Image Credit: Science: NASA, ESA, CSA, Kristen McQuinn (RU); Image Processing: Zolt G. Levay (STScI), Alyssa Pagan (STScI) NASA - Beneath the Night Sky in a Galaxy (Not Too) Far Away STScI - Beneath the Night Sky in a Galaxy (Not Too) Far Away ESA/Webb - Dwarf Galaxy WLM

文/松村武宏