株式会社ispaceは2023年11月16日、同社の月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2で月面に運ばれる小型月面探査車(マイクロローバー)の最終デザインを公開しました。探査車を搭載するHAKUTO-Rミッション2の月着陸船(ランダー)は、早ければ2024年冬に打ち上げられる予定です。【最終更新:2023年11月18日10時】

【▲ ispaceが公開した小型月面探査車のデザイン。同社の月面探査プログラムHAKUTO-Rミッション2で月面に輸送される(Credit: ispace)】

【▲ ispaceが公開した小型月面探査車のデザイン。同社の月面探査プログラムHAKUTO-Rミッション2で月面に輸送される(Credit: ispace)】

こちらがispaceの欧州子会社ispace Europeで開発が進められている小型月面探査車のデザインです。ispaceによると、探査車のサイズは全長54cm・幅31.5cm・高さ26cm、重量は約5kgで、軽量化を図りつつ打ち上げ時の振動に耐えるために炭素繊維複合材料(CFRP)が採用されています。

4つの車輪はレゴリス(月の土壌)の上でも安定して走行できるように形状が工夫されていて、車体前方にはレゴリスを採取するためのスコップも装備。採取されたレゴリスはカメラで撮影することが計画されています。打ち上げから月面到着までの間は着陸船上部に設けられているペイロードベイ(搭載物を収めるスペース)に格納されていて、着陸後に展開機構を用いて月面に降ろされる予定とされています。

ispaceは独自に開発した着陸船による月面へのペイロード輸送サービスを手掛けています。2023年4月26日には日本初・民間企業初の月面着陸を目指してHAKUTO-Rプログラム「ミッション1」の月面着陸を試みたものの、着陸船は月面に衝突して着陸は失敗に終わりました。原因はミッション1の計画段階で生じた着陸地点の変更にともなうソフトウェアの問題によって、推定高度に約5kmの誤差が生じたためと発表されています。

【特集】月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1

【▲ 月面に着陸したHAKUTO-Rミッション2の月着陸船「レジリエンス」(左上)と、月面に展開された小型月面探査車(右下)の想像図(Credit: ispace)】

【▲ 月面に着陸したHAKUTO-Rミッション2の月着陸船「レジリエンス」(左上)と、月面に展開された小型月面探査車(右下)の想像図(Credit: ispace)】

ispaceによると、今回探査車のデザインが公開されたミッション2ではミッション1と同型の着陸船を用いつつ、ミッションの精度を高めるためにソフトウェアの改良や試験の追加実施といった形でミッション1の経験が反映されています。ミッション1とミッション2で使用される着陸船は「Series1(シリーズ1)」と呼ばれていましたが、ミッション2の着陸船については日本語で「再起、復活、回復」などを意味する「RESILIENCE(レジリエンス)」と命名されたこともあわせて発表されています。

また、ミッション2着陸船のフライトモデルは2023年9月から組み立てが始まっており、2024年春頃の組み立て完了を目処に作業が進められています。打ち上げにはミッション1に続いてスペースXの「Falcon 9(ファルコン9)」ロケットが使用され、早ければ2024年冬に実施されます。

なお、ミッション2では以下の5つのペイロードが月面に輸送される予定だということです。

・HAKUTO-Rのコーポレートパートナーである高砂熱学工業株式会社の月面用水電解装置
・株式会社ユーグレナの月面環境での食料生産実験を目指した自己完結型のモジュール
・台湾の国立中央大学宇宙科学工学科が開発する深宇宙放射線プローブ
・株式会社バンダイナムコ研究所の「GOI宇宙世紀憲章プレート」
・ispaceの欧州子会社ispace Europeが開発するマイクロローバー

 

Source

ispace - ispace、ミッション2にて月に輸送するマイクロローバーのデザインを発表

文/sorae編集部