こちらは「おおぐま座(大熊座)」の方向約5900万光年先の矮小不規則銀河「I Zwicky 18(I Zw 18)」です。1930年代に天文学者のフリッツ・ツビッキー(Fritz Zwicky)が初めて観測しました。矮小銀河は天の川銀河と比べて規模が100分の1程度の小さな銀河で、数十億個ほどの恒星が集まってできています。矮小不規則銀河とは、矮小銀河の中でも星やガスが不規則に分布しているものを指す言葉です。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された矮小不規則銀河「I Zwicky 18(I Zw 18)」(Credit: ESA/Webb, NASA, CSA, A. Hirschauer, M. Meixner et al.)】【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された矮小不規則銀河「I Zwicky 18(I Zw 18)」(Credit: ESA/Webb, NASA, CSA, A. Hirschauer, M. Meixner et al.)】

欧州宇宙機関(ESA)によると、I Zw 18の中心部には短期間で大量の星が形成されるスターバーストを起こしている大きな領域が2つ存在しています。その周囲では、恒星風や若く熱い星から放射された紫外線によって加熱されたガスの泡状構造が、淡い茶色のフィラメント(糸状の構造)として捉えられています。I Zw 18の星形成活動は画像下側に写っている伴銀河との相互作用によって引き起こされた可能性があるようです。

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で取得したデータをもとに作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。

ESAによると、I Zw 18はヘリウムよりも重い元素(天文学では金属や重元素と総称される)の含有量が低く、天の川銀河の周辺では最も低い銀河の一つであることから興味深い観測対象になっているといいます。ウェッブ宇宙望遠鏡によるI Zw 18の観測は、星が生み出す塵(ダスト)のライフサイクルを研究する取り組みの一環として実施されたということです。

冒頭の画像は“ウェッブ宇宙望遠鏡の今月の画像”としてESAから2024年3月26日付で公開されています。

 

Source

ESA/Webb - A duo of starbursts in I Zwicky 18

文・編集/sorae編集部