その高い解像度で宇宙の謎に挑み続けている南米・チリの電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」によって、誕生したばかりの太陽系外惑星に注ぎ込んでいるガスの流れが初めて三次元的に測定されました。

■円盤のギャップめがけてガスが滝のように流れ込んでいた

原始惑星系円盤の表層からギャップに向かって滝のように流れ込むガスの想像図。ギャップのなかには幼い系外惑星(左下)が描かれている(Credit: NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello.)

観測対象となったのは、地球からおよそ400光年先、いて座の方向にある推定400万歳の若い恒星「HD 163296」です。この恒星を取り巻くガスと塵でできた円盤(原始惑星系円盤)は過去にもアルマ望遠鏡によって観測されており、昨年発表された研究では円盤のなかに3つの系外惑星が誕生していることが明らかにされています。

今回の観測では、円盤に含まれるガスのなかでも観測しやすい一酸化炭素(CO)をターゲットに、ガスの移動する様子が立体的に調査されました。観測データを詳しく解析した結果、幼い系外惑星が塵などを押しのけたことで生じたとみられる円盤のギャップに向かって、円盤の表面からまるで滝のようにガスが流れ込んでいることが判明したのです。

■流れ込んだガスによってガス惑星の大気が作られる?

アルマ望遠鏡がHD 163296の原始惑星系円盤を捉えた画像(塵の分布を示す)。明るい部分に2本、明るい部分のすぐ外側に1本、リング状にギャップが生じている(Credit: ESO, ALMA (ESO/NAOJ/NRAO); A. Isella; B. Saxton (NRAO/AUI/NSF))

ミシガン大学のRichard Teague氏をはじめとした研究チームは、円盤の表面からギャップに向かって滝のように流入するガスの流れが合計3か所で生じているのを発見しました。この動きは3つの系外惑星にそれぞれ関係しているとみられています。

「円盤の様子は想像よりもずっとダイナミックだった」と語るTeague氏は、円盤の表層から内側に向かって流れ込んだガスが幼い惑星に取り込まれ、やがてその大気を形成することになるだろうと考えています。

また、研究に参加したTed Bergin氏は、こうしたガスの流れを研究することで惑星形成への理解が深まるとともに、誕生後に別の軌道まで移動することがあるとされるガス惑星が最初に形成された場所、いわばガス惑星の「出生地」(Bergin氏)をその組成から解き明かせるかもしれないとコメントしています。

なお今回の研究では、HD 163296を巡る系外惑星の位置を、それぞれ主星から87、140、237天文単位(※)離れていると算出。またその重さについて、内側からそれぞれ「木星の半分」「木星とほぼ同じ」「木星の2倍ほど」と見積もっています。

(※…1天文単位は地球から太陽までの距離に由来)

 

Image: NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello.
Source: ALMA
文/松村武宏