NASAでは現在、有人月面探査の再開を目指す「アルテミス計画」を推進するとともに、継続的な月面探査や将来の火星有人探査を見据えた研究、探査、技術開発を行っています。こうした将来の有人宇宙活動拡大に備えて、新たに宇宙飛行士を募集することがNASAから告知されました。

■専門的な知識・技術を備え、一定の経験を積んだアメリカ市民を募集

NASAは月や火星での有人宇宙活動を見据えて新世代の宇宙飛行士を募集する(Credit: NASA)

宇宙飛行士の候補者として応募できるのはアメリカの市民権を持つ人で、STEM分野(工学、生物科学、物理科学、コンピューター科学、数学など)の修士号を得ていなければなりません。また、以下のいずれかの条件を満たしていれば、STEM分野の修士号を得ていなくても応募可能とされています。

・博士課程を2年間以上履修している
・医学またはオステオパシーの博士号を得ている
・所定のプログラムを終えてテストパイロットの資格を得ている(あるいは2021年6月までに資格を得る見込み)

これに加えて、自身の専門性と関連した活動を2年間以上経験しているか、あるいはジェット機の機長として1000時間以上の飛行を経験していることも条件。発表では候補者の年齢条件については特に触れられていませんが、宇宙飛行士になるにはこれらの条件を満たした上で、最終的にはNASAが実施する身体検査に合格しなければなりません。

1960年代から有人宇宙活動を行ってきたNASAでは、現在48人の宇宙飛行士が活動しています。今は国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在が主な任務となりますが、早ければ2024年にも再開される有人月面探査や2030年代半ばの実施を目指す火星有人探査が始まれば、さらに多くの宇宙飛行士が必要になるとされています。

今回NASAによる宇宙飛行士の募集が行われる背景には、こうした事情があります。NASAが「アルテミス世代」と呼ぶ新世代の宇宙飛行士たちは、現在開発中の「クルー・ドラゴン」や「スターライナー」といった民間の宇宙船でISSへと向かうほかに、新型宇宙船「オリオン」に乗ってアルテミス計画の有人月面探査にも従事することになります。応募はオンライン経由で、今年2020年3月2日から3月31日にかけて募集される予定です。

 

Image Credit: NASA
Source: NASA
文/松村武宏