ESAが開発しているサンプル保管容器を回収するための探査車を描いた想像図。地表にある棒状の物体がパーセベランスの残した保管容器(Credit: NASA/JPL-Caltech)

来月打ち上げられる予定のNASAの新しい火星探査車「パーセベランス(Perseverance)」には、将来別の探査機が回収して地球に持ち帰ることを念頭に、サンプルを地表に残しておくための保管容器が43本搭載されています。このサンプル保管容器を回収するための探査車の開発が、現在欧州宇宙機関(ESA)において進められています。

■パーセベランスが地表に残した保管容器を1本1本集めていく

パーセベランスはNASAの火星探査ミッション「マーズ2020」の探査車であるとともに、人類初となる火星からのサンプルリターンを目指す一連のミッションを担う探査車でもあります。現在ESAで開発が進められているのは、パーセベランスによって地表に残されたサンプル保管容器を見つけて回収するための探査車です。

ESAによると、NASAが開発する着陸機とともに2026年7月に火星へ向けて打ち上げられる予定の探査車は、火星の地表を1日あたり200m、合計で15〜20km走行し、最大36本の保管容器を自律的に回収します。地表に置かれてから数年が経過した保管容器が砂埃に覆われていることも想定し、保管容器を正確に識別するためのアルゴリズムも準備されており、人工的に再現された火星の環境でテストされているといいます。

サンプルの採取、保管容器の回収、地球への輸送という一連の流れを示した図(下が地球、上が火星)。赤で描かれたサンプル保管容器は3つのミッションを経て地球へともたらされる(Credit: ESA–K. Oldenburg)

ESAが「惑星間の宝探し(interplanetary treasure hunt)」と表現するサンプル保管容器の回収を終えた探査車が戻ってくると、保管容器は着陸機のロボットアームによって小さなロケットにセットされ、火星の周回軌道に向けて打ち上げられます。保管容器がセットされたコンテナは火星の周回軌道上で待機していた帰還用の探査機に回収され、地球へと運ばれることになります。

ESAから公開されている動画では、サンプル保管容器のひとつを丁寧に拾い上げる探査車の様子が描かれています。サンプルの採取(パーセベランスが担当)、保管容器の回収(ESAの探査車とNASAの着陸機が担当)、地球への輸送(ESAの探査機が担当)という3段構えの複雑なミッションですが、計画通りに進めば、人類は2031年に火星地表のサンプルを手にすることになります。

▲開発中の探査車がサンプル保管容器を拾い上げる様子を再現した動画▲

 

 

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: ESA
文/松村武宏