星形成領域「おおかみ座3(Lupis 3)」(2018年1月31日公開。Credit: ESO/R. Colombari)

■今日の天体画像:星形成領域おおかみ座3(Lupis 3)

こちらの画像は地球から600光年ほど離れたところにある星形成領域「おおかみ座分子雲(Lupus Clouds)」の一角を成す「おおかみ座3(Lupis 3)」を撮影したもの。名前にはおおかみ座とありますが、おおかみ座3はその隣の「さそり座」に少し入ったところに位置しています。

画像の中央付近には青く輝く2つの星が写っています。これらは誕生したばかりの幼い星(ハービッグAe/Be型星)で、中心ではまだ核融合が始まっておらず、ガスの収縮にともなって解放された重力エネルギーが熱に変換されることで輝いている段階とされており、形成されてからまだ100万年に満たないとみられています。この領域ではっきりと目立つ星はこの2つですが、分析の結果、おおかみ座3には誕生したばかりの星が他にも多く存在することが判明しています。

いっぽう、幼い星々の左右には黒い帯が伸びています。これは塵を豊富に含んだ暗黒星雲で、ガスや塵の密度が高くなった部分がやがて重力収縮を起こし、新しい星が誕生するとみられています。

大マゼラン雲にある「タランチュラ星雲(かじき座30)」のように、星形成領域には大質量星が幾つも生まれるような巨大な領域も存在していますが、多くの星々はおおかみ座3のように穏やかで比較的小さな星が生まれる領域で誕生したと考えられています。太陽も今から50億年近く前に、おおかみ座3のような星形成領域で誕生したのかもしれません。

冒頭の画像はパラナル天文台の「超大型望遠鏡(VLT)」とラ・シヤ天文台の2.2m望遠鏡で撮影した画像から作成されたもので、2018年1月31日にヨーロッパ南天天文台(ESO)から公開されました。また、末尾の画像はラ・シヤ天文台にある2.2m望遠鏡で撮影されたもので、2013年1月16日にESOから公開されています。

冒頭の画像よりも狭い範囲を撮影したもの。画像の幅はおよそ5光年に相当する(2013年1月16日公開。Credit: ESO/F. Comeron)

 

Image Credit: ESO/F. Comeron
Source: ESO(1) / ESO(2)
文/松村武宏