中生代白亜紀末に起きたとされる天体衝突の様子を描いた想像図(Credit: Chase Stone)

東京都市大学は8月27日、海洋生物の化石から得られた情報を分析した結果、約40億年前に誕生した地球の生命が絶滅することなく今日まで生き残ることができた確率が約15パーセントと推定されるとした津村耕司氏の研究成果を発表しました。

発表では近年発見が相次いでいる太陽系外惑星に触れた上で、太陽系外で生命を宿す天体の数を推定したり、系外惑星で生命の痕跡を探したりする際に今回の研究成果が応用できる可能性に言及しています。津村氏の研究成果は7月30日付けでScientific Reportsに掲載されています。

■40億年の間に85パーセントの確率で絶滅していたかもしれない

地球では短期間に数多くの種が絶滅する大量絶滅が度々起きてきました。約6600万年前の中生代白亜紀末に起きた恐竜などの絶滅はよく知られていますし、約3億5900万年前の古生代デボン紀末における大量絶滅が太陽系の比較的近くで発生した超新星爆発の影響によって発生した可能性を指摘する研究成果が先日発表されています。

津村氏は過去5億4000万年間の海洋生物に関する化石のデータベースをもとに、大量絶滅の規模と頻度を解析しました。その結果、5億4000万年前から現在までの間に地球の生命が絶滅せずに生き残れた確率は約76パーセントであることが判明したといいます。ただ、地球の生命は約40億年前に誕生したと考えられているものの、5億4000万年前よりも古い時代の情報は十分ではないため、生命の誕生から分析対象の時代までは約35億年もの開きがあります。

そこで津村氏は、直近の5億4000万年分の情報から得られた大量絶滅の頻度が40億年前からずっと一定だったと仮定した上で、地球に生命が誕生してから現在までの間に絶滅することなく生き残れた確率を推定。その結果、約15パーセントという結果が得られたとしています。言い換えれば、地球の生命は約85パーセントという決して低くない確率で、今日まで存続できなかった可能性があることになります。

■地球外生命体の探索にも応用できる可能性

赤色矮星「TRAPPIST-1」を公転する7つの系外惑星を描いた想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

近年、木星や土星などを周回する氷を主体とした衛星の地下や、主星(恒星)から程良い距離を周回する系外惑星などの地球以外の天体において、生命が存在する可能性が指摘されています。しかし、人類が知る生命は今のところ地球のものが唯一であるため、どの天体に生命が存在するのか、生命が存在する天体はこの宇宙にどれくらいあるのかを推定するのは、それだけでも困難なことだといいます。

発表では、「生命が誕生してから人類(知的生命体)に進化するまで約40億年」という地球での例が宇宙全体でも共通の期間だと仮定すれば、今回の津村氏の研究で示された「地球の生命が40億年間で絶滅しなかった確率は約15パーセント」という推定値が、地球外生命体の探索にも応用できる可能性に言及しています。

たとえば、人類と交信可能な文明が存在する天体が天の川銀河にどれくらいあるのかを推定する有名な「ドレイクの方程式」では、解を得るために7つの値が必要とされています。発表では、今回の研究成果をそのうちの1つ「生命が知的生命体にまで進化する確率」に用いることが提案されています。

参考:宇宙生命が存在する星の数をあらわす「ドレイクの方程式」(JAXA宇宙情報センター)

また、系外惑星における生命探査では、地球の植物のように光合成を行う生命が存在する兆候として、大気中の酸素やオゾンの存在が注目されています。発表では、今回の研究成果をもとに「地球に誕生した生命が進化して光合成をするようになり、地球の酸素濃度を急上昇させるまでに絶滅しない確率」を推定すると約50パーセントという確率が得られることから、仮に太陽系外に生命が誕生していればその約半分は光合成をしており、系外惑星の大気中に放出された酸素が検出できる可能性に言及しています。

 

Image Credit: Chase Stone
Source: 東京都市大学
文/松村武宏