可視光線とX線で観測された「車輪銀河」(Credit: X-ray: NASA/CXC; Optical: NASA/STScI)

■今日の天体画像:車輪銀河(Cartwheel Galaxy)

こちらの画像の右側に写っているのは「ちょうこくしつ座」の方向およそ5億光年先にある「車輪銀河(Cartwheel Galaxy)」です。別の小さな銀河が中心付近に衝突し、通り抜けていった際の衝撃波によって、楕円形の中心部分を取り囲む直径およそ15万光年の巨大なリング状の構造が形成されたと考えられています。

満点の星空や望遠鏡越しに見える天体は私たちの目を楽しませてくれますが、人間は可視光線と呼ばれるごく一部の波長の電磁波しか見ることができません。天体の性質をより詳しく調べるには、可視光線だけでなく赤外線、紫外線、電波、X線、ガンマ線といった別の波長の電磁波も利用した観測(多波長観測)が重要です。可視光線以外の波長で得られた観測データを擬似的に着色すると、人の目に映るものとは異なる天体の姿が見えてきます。

画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡による可視光線(赤色、緑色、青色)と、X線観測衛星「チャンドラ」によるX線(紫色)の観測データが組み合わせられています。ハッブルは衝突の影響で引き起こされたとみられる星形成活動が活発な領域を、チャンドラは衝突によって15万光年以上も引きずられるように伸びた高温ガスを捉えました。次の可視光線だけの画像と比較すると、長く伸びた高温ガスの様子がよくわかります。

可視光線で観測された(Credit: NASA/STScI)

 

冒頭の画像は2020年9月2日に「NASA’s Chandra Opens Treasure Trove of Cosmic Delights」として他の5点とともに公開されています。

 

Image Credit: X-ray: NASA/CXC; Optical: NASA/STScI
Source: chandra.harvard.edu
文/松村武宏