■まるで手を伸ばせば届きそう、美しいアンドロメダ銀河

Andromeda Galaxy at Arm’s Length(Credit: Nicolas Lefaudeux)

イギリスのグリニッジ天文台は9月10日、同天文台が開催した天体写真コンテスト「Insight Astronomy Photographer of the Year 2020」の受賞作品を発表しました。2020年の総合優勝は「Galaxies(銀河)」部門の優勝作品でもあるNicolas Lefaudeux氏の「Andromeda Galaxy at Arm’s Length」。およそ250万光年先にある有名な渦巻銀河「アンドロメダ銀河(M31)」を写したものですが、チルトシフトの効果でまるで腕を伸ばせば手が届きそうなほど近くにあるような印象を受けます。

チルトシフトの効果が得られる角度でカメラを望遠鏡に固定するために、Lefaudeux氏は3Dプリンターで部品を自作した上で撮影に臨んだとのこと。審査員の一人、コメディアンのJon Culshaw氏は「印象的かつ非常に独創的」と評価。「見るたびに笑顔になる」という写真家のEd Robinson氏も「アンドロメダ銀河に物理的に届くような印象を与える魔法のような作品です」とコメントしています。

■カラフルな色合いの月面、沸き立つ太陽の表面

同コンテストではテーマ別に11の部門が設けられていて、各部門の受賞者と作品もあわせて発表されています。

Tycho Crater Region with Colours(Credit: Alain Paillou)

こちらはAlain Paillou氏による「Our Moon(われわれの月)」部門の優勝作品「Tycho Crater Region with Colours」。場所によってわずかに異なる月面の色彩を引き立たせたもので、月のティコクレーター周辺を撮影したモノクロとカラーの画像を組み合わせることで作成されています。Paillou氏によると、青色は酸化チタン、赤色は酸化鉄の濃度が高い部分を示しているといいます。

Liquid Sunshine(Credit: Alexandra Hart)

また、こちらはAlexandra Hart氏による「Our Sun(われわれの太陽)」部門の優勝作品「Liquid Sunshine」。太陽の表面をびっしりと覆う粒状斑(りゅうじょうはん)が捉えられています。粒状斑はガスの対流によって生じるもので、グリニッジ天文台のEmily Drabek-Maunder氏は「太陽があまり活発ではないとしても(※)、その表面下で進行する核融合はこの小さな世界の生命すべてを支えています」とコメントしています。

※…現在の太陽は第24活動周期から第25活動周期に移り変わる静穏な時期にあるとみられています

■無数の軌跡に閉じ込められた二重星

The Prison of Technology(Credit: Rafael Schmall)

いっぽう、こちらはRafael Schmall氏による「People and Space(人と宇宙)」部門の優勝作品「The Prison of Technology」。はくちょう座の二重星「アルビレオ」を背景に無数に走る光の筋は、すべて人工衛星の軌跡です。

先日もお伝えしたように、スペースXのスターリンク衛星打ち上げが始まって以来、衛星コンステレーションによる光害を懸念する声が高まっています。「テクノロジーの牢獄」と題された本作品に対し、BBC Sky at Night Magazine誌のSteve Marsh氏は「いつの日か現実になるかもしれない夜空を見事なまでに示しています」とコメントしています。

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なお、グリニッジ天文台の公式Webサイトで公開されているコンテストの特設ページでは、各部門の入賞作品がすべて公開されています。どの作品も素晴らしいものばかりですし、撮影機材や露光時間などの技術的な情報も記載されているので、興味を持たれた方は以下のURLから是非ご覧になってみて下さい!

関連外部リンク:Insight Investment Astronomy Photographer of the Year 2020( https://www.rmg.co.uk/whats-on/astronomy-photographer-year/galleries/2020 )

 

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文/松村武宏