NASAの小惑星探査機「OSIRIS-REx(オシリス・レックス)」

ベンヌの表面に向けて降下するオシリス・レックスを描いた想像図(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の小惑星探査機「はやぶさ2」の地球帰還まで2か月を切りましたが、米国版はやぶさことNASAの小惑星探査機「OSIRIS-REx(オシリス・レックス)」のミッションも山場を迎えています。日本時間10月21日の朝、いよいよオシリス・レックスによる小惑星ベンヌからのサンプル採取が実施されます。

■ベンヌの表面から60グラム以上のサンプル採取を目指す

2年近く前の2018年12月にベンヌへ到着したオシリス・レックスは、はやぶさ2がサンプル採取を実施した小惑星リュウグウと同様に、当初の想定以上に表面の岩が多いという問題に直面。到着から1年後の2019年12月にはメインの採取地点「ナイチンゲール」とバックアップ地点の「オスプレイ」が選定され、2020年に入ってからは降下リハーサルが繰り返されてきました。

オシリス・レックスによるサンプル採取は「TAG」(タグ、Touch-And-Goの略)と呼ばれています。NASAによると、ベンヌの表面から770m離れた軌道にいるオシリス・レックスは4時間かけてゆっくりとベンヌに近づいていき、高度125mに達すると位置や速度を調整しつつ降下速度を増速。約11分後に高度54mへ到達した段階で速度を落とし、ベンヌの自転に合わせながら採取地点のナイチンゲールを目指して降下を続けます。

2020年8月に実施された2回目の降下リハーサル時にオシリス・レックスから撮影された画像。下から中央に向かって伸びているTAGSAMの向こうにベンヌの表面が見えている(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)

サンプル採取は日本時間10月21日7時12分に行われる予定です。オシリス・レックスの「TAGSAM(Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism)」と呼ばれるサンプル採取装置では、ベンヌの地表に接触したときに先端から窒素ガスを噴射することで、舞い上がった地表の物質を採取する仕組みが採用されています。窒素はTAGを3回行える量が搭載されているといいます。

オシリス・レックスのミッションではベンヌのサンプルを最低でも60グラム採取することが計画されています。TAG終了後の現地時間10月22日にはサンプルの採取に成功したかどうかがカメラで確認され、10月24日には探査機を回転させた際の慣性モーメントをTAG実施前の値と比較することでサンプルの質量が測定されます。十分な量が採取されていればサンプルは回収カプセルに収容されますが、十分な量のサンプルを採取できなかったと判断された場合、2021年1月以降にバックアップ地点のオスプレイにおけるTAGが試みられる予定です。

 

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Image Credit: NASA/Goddard/University of Arizona
Source: NASA / www.asteroidmission.org
文/松村武宏