ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)によって2019年12月に観測されたベテルギウス

ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)によって2019年12月に観測されたベテルギウス(Credit: ESO/M. Montargès et al.)

オーストラリア国立大学のMeridith Joyce氏らの研究グループは、オリオン座の赤色超巨星「ベテルギウス」について、従来考えられていたよりも直径が小さく地球からの距離も近いことが明らかになったとする研究成果を発表しました。

オリオン座の一角で輝くベテルギウスは、今後10万年以内に超新星爆発が観測されるのではないかと考えられています。ベテルギウスは膨張と収縮を繰り返すことで明るさが変わる脈動変光星としても知られていますが、2019年10月から2020年2月にかけて急激な減光が観測されたことから、近く超新星爆発が観測されるのではないかとして話題になりました。

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発表によると、今回のJoyce氏らによる分析では、ベテルギウスの半径は太陽のおよそ750倍と見積もられています。太陽系で例えれば地球はもちろん火星の公転軌道も飲み込まれてしまうほどの大きさですが、太陽の1000倍以上で木星の公転軌道を超える可能性もあると考えられてきた従来の予想と比べれば3分の2程度の大きさだったことになります。

また、地球からベテルギウスまでの距離はおよそ700光年とみられていましたが、分析の結果それよりも25パーセントほど近いおよそ530光年であることも判明したといいます。それでも太陽系からは十分離れており、発表ではベテルギウスが爆発しても地球に重大な影響を及ぼすには遠すぎる距離だとしています。

なお、研究グループによると、現在観測されているベテルギウスは中心でヘリウムを燃焼する段階にあるとされています。ベテルギウスは鉄でできたコアの重力崩壊によって生じる超新星爆発(II型超新星)を起こすと考えられていますが、鉄が生成・蓄積されるのはヘリウムに続いて炭素、ネオン、酸素といったより重い元素の燃焼過程をそれぞれ経た後の、ケイ素を燃焼する段階とされています。Joyce氏はベテルギウスについて「爆発にはまだ遠い」とコメントしています。

 

Image Credit: ESO/M. Montargès et al.
Source: オーストラリア国立大学
文/松村武宏