地球が太陽を横切る「トランジット」を検出した知的生命体がどこかに存在するかもしれない

地球が太陽を横切る「トランジット」を検出した知的生命体がどこかに存在するかもしれない(Credit: John Munson/Cornell University)

人類はすでに4000個以上の太陽系外惑星を見つけていますが、もしかすると人類以外の知的生命体によって地球も同じように発見されているかもしれません。コーネル大学のLisa Kaltenegger氏らの研究グループは、地球を検出可能な位置関係にある326光年(100パーセク)以内の恒星1004個を割り出したとする研究成果を発表しました。

研究グループは「トランジット法」という手法で地球を検出できる方向にある恒星に注目しました。トランジット法とは、惑星が主星(恒星)の手前を横切る「トランジット」という現象を利用する手法です。惑星が横切っているあいだは主星がわずかに暗くなるため、横切り始めてから終わるまでの明るさの変化を検出することで、惑星の直径や公転周期を調べることができます。トランジット法は系外惑星の探査手法として広く用いられていて、2018年10月に運用を終えた宇宙望遠鏡「ケプラー」や、同年4月に打ち上げられた系外惑星探査衛星「TESS」などでも利用されています。

惑星のトランジット(上)と主星の明るさ(下)の関係を示した動画(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)

トランジット法を使って地球を検出できる系外惑星があるとすれば、地球から見て「黄道」の方向にある恒星を周回しているはずです。十二星座でもおなじみの黄道とは天球における太陽の見かけの通り道のことで、地球から見て黄道上にある系外惑星から太陽系を観測すると、地球が太陽の手前を横切ったことを検出できるのです。研究に参加したリーハイ大学のJoshua Pepper氏は「研究で特定したすべての星において、地球のトランジットを観測することが可能です」と語ります。

「活気あふれる生物圏を持つ惑星が見つかったら、誰かがこちらを見ているかどうかも知りたくなるはずです」と語るKaltenegger氏は、今回の研究について、地球の発見が可能でコミュニケーションを望むかもしれない知的生命体を捜索する上で最初に探すべき場所を示すものだとしています。

ティーガーデン星から見た太陽系(左上)のイメージ図。太陽系を「横」から見る位置関係であるため、2044年からは地球のトランジットが観測可能(Credit: University of Göttingen, Institute for Astrophysics)

研究グループによると、リストアップされた恒星の大半となる約77パーセントは小さく低温のM型星(赤色矮星)が占めており、M型星よりも大きいが太陽よりも小さいK型星は12パーセント、太陽と同じG型星は6パーセント、残りは太陽よりも大きく高温のF型星(4パーセント)やA型星(1パーセント)とされています。

また、1004個のうちこれまでに系外惑星が見つかっている恒星は「K2-155」と「K2-240」の2つのみだといいます。研究グループは今後観測を行う研究者のために、地球によく似た系外惑星が存在する場合に予想される公転周期や軌道の大きさ(軌道長半径)についても恒星ごとに算出しています。

なお、リストアップされた恒星で最も太陽系に近いのは約28光年先にある「ロス64(Ross 64)」とされていますが、恒星の相対的な位置は常に変化しており、2044年からは約12.5光年先にある「ティーガーデン星(Teegarden’s star)」から地球のトランジットが約450年間観測できるようになる点にも研究グループは言及しています。ティーガーデン星ではこれまでに系外惑星が2つ見つかっています。

 

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Image Credit: John Munson/Cornell University
Source: コーネル大学
文/松村武宏