組立作業中の「プロトンM」ロケット。フェアリングには多目的実験モジュール「ナウカ」が格納されている(Credit: Yuzhny Space Center/Roscosmos)

【▲ 組立作業中の「プロトンM」ロケット。フェアリングには多目的実験モジュール「ナウカ」が格納されている(Credit: Yuzhny Space Center/Roscosmos)】

日本時間7月21日夜、国際宇宙ステーション(ISS)のロシア区画に結合される多目的実験モジュール「ナウカ(Nauka)」(露:Наука、「科学」の意味)の打ち上げが予定されています。ナウカは7月29日にISSへドッキングする予定で、地上とISSではナウカの打ち上げとドッキングに向けた準備が進められています。

7月14日、ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスからバイコヌール宇宙基地で組立作業が進む「プロトンM」ロケットの画像(冒頭)が公開されました。バイコヌールではナウカが格納されたフェアリングおよびプロトンMの3段目からなる先端部分と2段目を結合する作業が大詰めを迎えていて、配線の接続チェックが終わり次第、射点に向けてロケットの移動が開始される見込みです。

ピアースの分離に向けて準備作業を行うISS第65次長期滞在クルーのオレッグ・ノヴィツキー宇宙飛行士(Credit: Roscosmos)

【▲ ピアースの分離に向けて準備作業を行うISS第65次長期滞在クルーのオレッグ・ノヴィツキー宇宙飛行士(Credit: Roscosmos)】

いっぽうISSのロシア区画では、ドッキング室1「ピアース(Pirs)」の分離に向けた準備が第65次長期滞在クルーによって進められています。ピアースは現在ロシア区画のサービスモジュール「ズヴェズダ(Zvezda)」の下部(天底側)に結合していますが、ナウカを同じ場所へ結合させるため、ナウカの到着前にISSからピアースを切り離して大気圏に突入させ廃棄することが決まっています。

2001年9月に特別仕様の無人補給船「プログレスM-SO1」を使ってISSに運ばれたピアースは、ロシア区画のエアロックや有人宇宙船「ソユーズ」およびプログレス補給船のドッキング場所として活躍してきました。ピアースの分離と廃棄には現在ドッキング中の補給船「プログレスMS-16」が用いられることになっており、ISSから切り離されたピアースとプログレスは分離から4時間後に大気圏へ再突入する予定です。

ピアースにドッキングした無人補給船「プログレスMS-16」。同補給船はナウカの到着に先立ちピアースごとISSから分離し、大気圏に再突入して廃棄される(Credit: NASA)

【▲ ピアースにドッキングした無人補給船「プログレスMS-16」。同補給船はナウカの到着に先立ちピアースごとISSから分離し、大気圏に再突入して廃棄される(Credit: NASA)】

なお、これまでピアースが担ってきたエアロックとしての機能は、ズヴェズダの上部(天頂側)に結合されている小型研究モジュール2「ポイスク(Poisk)」が引き継ぎます。ソユーズやプログレスのドッキング場所としての役割は、ピアースと同様に機体前後の2か所にドッキング機構が設けられているナウカが引き継ぐことになります。

また、7月13日にはロスコスモスからナウカのロゴが公開されました。ロゴには欧州ロボットアーム(ERA)を備えたナウカのイラストが、原子を表現した3つの楕円や地球を背景に描かれています。外周にはモジュールの名称、打ち上げ年、宇宙基地とロケットの名称、ロスコスモスなどのロゴを表記。下部に描かれた大小5つの星は、ナウカを含むロシア区画のモジュール(ザーリャ、ズヴェズダ、ナウカ、ラスヴェット、ポイスク)を表現しています。

多目的実験モジュール「ナウカ」のロゴ(Credit: Roscosmos)

ナウカの打ち上げは日本時間2021年7月21日23時58分、ISSへのドッキングは8日後の日本時間7月29日22時25分が予定されており、NASA TVでライブ配信が行われます。20年に渡り使われてきたピアースの分離はナウカ打ち上げ2日後の日本時間7月23日午後22時17分で、こちらもライブ配信が予定されています。

 

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Image Credit: Roscosmos
Source: Roscosmos / NASA
文/松村武宏