天の川銀河内に存在する超新星残骸「G292.0+1.8」の画像。今回の研究成果とは直接関係ありませんが、超新星残骸の参考画像として掲載します。チャンドラX線観測衛星によって撮影されたX線画像になります(Credit: NASA/CXC/SAO))

【▲ 天の川銀河内に存在する超新星残骸「G292.0+1.8」の画像。今回の研究成果とは直接関係ありませんが、超新星残骸の参考画像として掲載します。チャンドラX線観測衛星によって撮影されたX線画像です(Credit: NASA/CXC/SAO))】

名古屋大学は8月23日、100年来の謎であった宇宙線の起源を突き止めたと発表しました。研究チームによれば、宇宙線の起源は超新星残骸にあるといいます。

宇宙空間では、陽子、ヘリウムの原子核、電子などの荷電粒子がほぼ光速のスピードで飛び回っています。これが宇宙線です。その割合は、陽子が90%ほど、ヘリウムの原子核が9%ほどになります。

このような宇宙線は、1912年にオーストリアの物理学者ヘスによって発見されましたが、その起源については、超新星残骸において加速された陽子などではないかと考えられてきました。

太陽の8倍以上の質量を持つ重い恒星が最期を迎えると大爆発を起こします。これを超新星爆発といいます。この超新星爆発によって発生した衝撃波により加速された陽子などが宇宙線の起源だというわけです。しかし、この考え方も、非常に有力な考え方ではありますが、決定打に欠けていました。

つまり、宇宙線が発見されて以来100年以上その起源は謎でした。

宇宙線は磁場が存在するとその進行方向が捻じ曲がります。そのため、宇宙線自体はどこからきたのか解りません。これに対して、宇宙線が星間物質などと衝突すると、ガンマ線が発生しますが、このガンマ線は磁場に影響されずに直進します。つまり、このガンマ線ならどこからきたのか解ります。そこで、研究チームは、ヘスガンマ線望遠鏡による超新星残骸「RXJ1713」からのガンマ線の観測データを詳しく分析しました。

このとき、研究チームは、陽子が衝突した際に発生するガンマ線と電子が衝突した際に発生するガンマ線を分離する独自の解析方法を新たに開発し、この方法を使うことで、超新星残骸「RXJ1713」において、確かに、宇宙線の主成分である陽子が加速されていることを突き止めました。これまでの宇宙線の起源に関する考え方は正しかったというわけです。ちなみに、陽子に由来するガンマ線と電子に由来するガンマ線の割合は全ガンマ線の70%と30%でした。

研究チームでは、「100年来の謎であった『宇宙線陽子の起源』が超新星残骸にあることに最終的な決着をつけました」と誇らしげにコメントしています。

 

Image Credit: NASA/CXC/SAO
Source: 名古屋大学のプレスリリース/論文
文/飯銅重幸