銀河団「エイベル(Abell)3827」とその重力レンズ効果によって作り出された「アインシュタインリング」(Credit: ESA/Hubble & ; NASA, R. Massey)

【▲ 銀河団「エイベル(Abell)3827」とその重力レンズ効果によって作り出された「アインシュタインリング」(Credit: ESA/Hubble & ; NASA, R. Massey)】

まるでオリオン座の三つ星のように並ぶ3つの銀河。

これはハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「エイベル(Abell)3827」と呼ばれる銀河団の画像です。その右側には、3つの中心を持つ、非常に珍しい曲がった銀河が写っているように見えます。

しかし、詳細に分析すると、これは銀河団よりも遠方にある同じ1つの銀河を撮影した3つの画像であり、さらにもう1つ(合わせて少なくとも4つ)の画像の存在がわかりました。私たちが見ているこの銀河からの光は、手前にある銀河団の複雑な重力の中を何度も通り抜けています。その結果、重力レンズ効果によって歪んだ銀河のように見えているのです。

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こちらでは、手前にある銀河団の中の明るい銀河の画像(左側のG1〜5)と遠方にある銀河の画像(右側のA1〜4)をそれぞれ強調して表示しています。

(左)手前にある銀河団の中の明るい銀河(G1〜5)と2つの恒星(MW star)の画像。(右)遠方にある銀河の画像(A1〜4)(Credit: Chen etal. 2020)

【▲(左)手前にある銀河団の中の明るい銀河(G1〜5)と2つの恒星(MW star)の画像。(右)遠方にある銀河の画像(A1〜4)(Credit: Chen etal. 2020)】

このような重力レンズ効果によって、右側のようなリング状になる「アインシュタインリング」は他の星系でも観測されていますが、特にエイベル3827はダークマター(暗黒物質)の存在や質量の分布を知るために重要な手がかりを与えてくれるとのことです。

わたしたちが見ているエイベル3827の光は約13億年前のものです。恐竜が地球上を歩き回っていた頃よりもさらにずっと前のことです。銀河団の中心にある銀河は、今ではきっと、その中心付近にある巨大な1つの銀河に合体していることでしょう。

 

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Massey、Chen etal。2020
Source: APOD、AAS(アメリカ天文学会)
文/吉田哲郎