【▲ 600以上の銀河が集まる「ろ座銀河団」の一部(Credit: NOIRLab)】

こちらは南天の「ろ座」(炉座)の方向およそ6000万光年先にある「ろ座銀河団」(Fornax Cluster)の一部を捉えた画像です。米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)によると、ろ座銀河団には600以上の銀河があり、天の川銀河から1億光年以内の銀河団としては「おとめ座銀河団」に次ぐ規模だといいます。

中央付近で大きくぼんやりと輝いているのは楕円銀河「NGC 1399」で、その下には別の楕円銀河「NGC 1404」も写っています。楕円銀河は渦巻銀河や棒渦巻銀河が持つ渦巻腕のような目立った構造はみられず、古い星が多いという特徴があります。NOIRLabによると、NGC 1399とNGC 1404は互いの重力で引き寄せ合っていて、この相互作用によってNGC 1404からはガスが剥ぎ取られているといいます。

また、画像の左下には不規則銀河「NGC 1427A」が写っています。不規則銀河とは天の川銀河やアンドロメダ銀河のような整った構造を持たず、星々が無秩序に集まっているような銀河のこと。NOIRLabによると、NGC 1427Aはろ座銀河団の中心に向かって時速約220万kmで移動しており、最終的には銀河団に属する他の銀河との相互作用によって破壊される運命が待ち受けているようです。

なお、画像には十字形の光(回折スパイク、望遠鏡の副鏡を支える梁で回折した光によるもの)をともなう比較的近距離にある天の川銀河の星々をはじめ、ろ座銀河団の背後にはさらに遠くにある無数の銀河も捉えられていて、果てしなく広がる宇宙の奥行きを感じさせます。

この画像はチリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置されている「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測データから作成されたもので、NOIRLabから2021年9月23日付で公開されています。ダークエネルギーカメラは満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影できる巨大なデジタルカメラ(画素数約520メガピクセル)のような観測装置で、その名の通りダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発されました。ダークエネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されましたが、その後も運用が続けられています。

 

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Image Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA
Acknowledgment: Image processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), J. Miller (Gemini Observatory/NSF’s NOIRLab), M. Zamani (NSF’s NOIRLab) & D. de Martin (NSF’s NOIRLab)
Source: NOIRLab
文/松村武宏