火星のエオス谷の一部(疑似カラー。Credit: NASA/JPL/UArizona)

【▲ 火星のエオス谷の一部(疑似カラー。Credit: NASA/JPL/UArizona)】

こちらは火星の「エオス谷」(Eos Chasma)と呼ばれる谷のうち、谷底に近い斜面の一部を高度265kmから捉えた画像です。観測開始から今年で15年となるアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」によって撮影されました。

画像を公開したアリゾナ大学の月惑星研究所(LPL)によると、有名な「マリネリス峡谷」(Valles Marineris)の東に位置するエオス谷では、大規模な地滑りによって谷の斜面から谷底へ(画像では左上が谷底の方向)と様々な岩石が混ざり合いながら運ばれていったといいます。過去の観測ではこの付近に火成鉱物の一種である直方晶系(斜方晶系)の輝石が通常以上に集まっていることがわかっていたといいますが、MROの観測データは他にも多様な鉱物が存在することを示しているといいます。

MROが撮影したエリアの全体像(モノクロ、上が北の方角)。冒頭の画像は中央下寄りの部分を拡大したもの。右上のスケールバーは500mの長さを示す(Credit: NASA/JPL/UArizona)

【▲ MROが撮影したエリアの全体像(モノクロ、上が北の方角)。冒頭の画像は中央下寄りの部分を拡大したもの。右上のスケールバーは500mの長さを示す(Credit: NASA/JPL/UArizona)】

2005年8月に打ち上げられたMROは2006年5月に火星へ到着し、同年11月から2008年11月にかけて「プライマリーサイエンスフェーズ」と呼ばれる最初の探査活動を行いました。LPLによると、この画像はプライマリーサイエンスフェーズが始まった2006年11月に撮影が申請されたものの、マリネリス峡谷とその周辺には数多くの観測対象があったため、2021年7月23日になってようやく撮影することができたといいます。申請から15年近くが経ったものの、LPLによる画像の解説には「待つだけの価値がありました!」と付け加えられています。

冒頭の画像はMROの高解像度撮像装置「HiRISE」(The High-Resolution Imaging Science Experiment)による観測データから作成されたもので、HiRISEの今日の一枚「A Colorful Landslide in Eos Chasma」として2021年9月22日付で公開されています。

欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機「マーズ・エクスプレス」による観測データをもとにCGで再現されたエオス谷(左上が北の方角、高さを4倍に強調)。MROが撮影した場所は、この画像では中央付近に位置する(Credit: ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum), CC BY-SA 3.0 IGO)

【▲ 欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機「マーズ・エクスプレス」による観測データをもとにCGで再現されたエオス谷(左上が北の方角、高さを4倍に強調)。MROが撮影した場所は、この画像では中央付近に位置する(Credit: ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum), CC BY-SA 3.0 IGO)】

 

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Image Credit: NASA/JPL/UArizona
Source: LPL
文/松村武宏