【▲ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホールの周りで渦巻く高温のガスの画像。赤外線で撮影されています。世界天文年を記念して2009年に公開されました(Credit: NASA, ESA, STScI, Q. Daniel Wang (UMass))】

10月27日に公開されたNASAの記事によると、12月18日に打ち上げ予定のNASAの次世代宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がイベントホライズンテレスコープ(以下、EHT)に参画するそうです。

EHTはアルマ望遠鏡など8つの電波望遠鏡を機能的に結合することで地球サイズの電波望遠鏡を実現しました。そして、2017年におこなわれた観測に基づいて2019年に人類史上初のブラックホールの画像が公開されました。撮影されたのは楕円銀河M87の中心にある超大質量ブラックホールです。

しかし、実はこの2017年におこなわれた観測のときに同時に私達の天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール(以下、いて座A*=いてざえーすたー)の観測もおこなわれていました。観測データは現在鋭意分析中です。

では、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はどのようにEHTに参画するのでしょうか?

いて座A*の周りにある降着円盤(高温のガスの円盤)は、強烈な電波を放っていますが、時に数時間の間に数倍にも増光することがあります。フレアと呼ばれる現象です。

このフレアは、いて座A*に特有の現象で、頻繁に発生しますが、いて座A*の観測を妨げます。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、打ち上げられると、観測を開始する最初の1年以内に、いて座A*を2つの赤外線の波長(F210M and F480M)で同時かつ継続的に観測し、EHTのチームにそのデータを提供します。EHTのチームは、このデータを自分達の観測データと対照することで、いつフレアが存在していたのか、より容易に決定できるようになり、より鮮明な画像を得ることができるようになるそうです。

いて座A*研究チームの天文学者であり、EHTの科学評議会の副議長を務めるセラ・マルコフさんは「世界中の多くの科学者や宇宙機関がブラックホールの研究に多大な労力を費やすのは、ブラックホールが一般相対性理論のような根幹をなす基礎的な理論を実際の観察によってテストできる最もよい場所だからです」どコメントしています。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とEHTが力を合わせてブラックホールの謎の解明に挑むなんてとても楽しみですね。

 

Image Credit: NASA, ESA, STScI, Q. Daniel Wang (UMass)
Source: NASA
文/飯銅重幸(はんどうしげゆき)