【▲ 超新星残骸「DEM L 249」(Credit: ESA/Hubble & NASA, Y. Chu)】

【▲ 超新星残骸「DEM L 249」(Credit: ESA/Hubble & NASA, Y. Chu)】

こちらは南天の「テーブルさん座」の方向にある超新星残骸「DEM L 249」です。儚さを感じさせる赤く淡い雲のように広がった構造が、視野一面に散りばめられた無数の星々の輝きに彩られています。

超新星残骸とは、重い恒星などによる超新星爆発が起きた後に観測される天体のこと。超新星爆発にともなって発生した衝撃波が周囲へ広がり、ガスを加熱することで可視光線やX線といった電磁波が放射されています。

DEM L 249は地球から約16万光年離れた大マゼラン雲(LMC:Large Magellanic Cloud、大マゼラン銀河とも)にあります。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によると、この超新星残骸は白色矮星で起きる「Ia型超新星」によって形成されたと考えられています。

白色矮星は、太陽のように超新星爆発を起こさない軽い星が恒星としての死を迎えた後に進化した天体です。連星をなす恒星の片方が寿命を迎えて白色矮星になると、白色矮星と恒星からなる連星が誕生することになります。このような連星では恒星から流れ出た水素ガスが白色矮星に降り積もり、白色矮星の質量が太陽の約1.4倍(チャンドラセカール限界)に達することで超新星爆発が起きることがあります。これがIa型超新星です。

ESAによると、天の川銀河の伴銀河である大マゼラン雲は銀河としては距離が近く、地球に正面を向けていて、光を吸収してしまう星間塵が比較的少ないことから、恒星の生涯を研究する上で理想的な天然の実験室なのだといいます。冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「広視野カメラ3(WFC3)」を使って取得されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚としてESAから2022年5月9日付で公開されています。

 

Source

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, Y. Chu ESA/Hubble - Aftermath of a Cosmic Cataclysm

文/松村武宏