【▲20個の「銀河団コレクション」の一部(Credit: Fox et al. 2022)】

【▲20個の「銀河団コレクション」の一部(Credit: Fox et al. 2022)】

こちらの光り輝く点と地図の等高線を重ね合わせたような画像はいったい何でしょうか? 現代アートの展示のようにも見えますが、光の点は星ではなく、遠方の銀河団に属する銀河なのです。

銀河団は、重力によって結合している、宇宙で最も大きな構造です。これらの銀河団は非常に重い(質量が大きい)ため、重力レンズの役割を果たし、背景にある天体からの光を円弧や円のかたちに曲げてしまいます。

観測結果と宇宙論モデルを比較したところ、予測よりもはるかに多くの銀河が円弧状に歪んでいることがわかりました。これは、銀河団の性質、遠方の天体にレンズのように作用する能力、そして宇宙論との関連性が、まだ十分に理解されていないことを示唆しています。

ミシガン大学のカーター・フォックス(Carter Fox)氏が率いる研究チームは、銀河団の性質とレンズ効果との関係を明らかにするため、数十個の銀河団を研究しました。研究者たちは、銀河団の中の最も明るい銀河の近くに集中している質量の大きさなど、銀河団のレンズ効果に関連する特性を明らかにしました。この結果は、強いレンズ効果を持つ銀河団を探索する指針となり、天文学者が初期宇宙の銀河を研究し、宇宙論モデルの洗練に役立つと期待されます。

今回の研究対象となった銀河団のうち20個を並べたのが、こちらの画像です。言わば「銀河団のコレクション」です。

【▲研究対象となった銀河団のうち20個を並べた「銀河団のコレクション」。等高線は、質量密度 (白)、倍率 (シアン)、銀河団内で最も明るい銀河からの距離 (緑) のレベルを示しています(Credit: Fox et al. 2022)】

【▲研究対象となった銀河団のうち20個を並べた「銀河団のコレクション」。等高線は、質量密度 (白)、倍率 (シアン)、銀河団内で最も明るい銀河からの距離 (緑) のレベルを示しています(Credit: Fox et al. 2022)】

冒頭の画像はその一部で、2022年4月18日付けでAAS NOVA(アメリカ天文学会発行のジャーナルからハイライトを掲載しているサイト)に「注目の画像:銀河団のコレクション(Featured Image:A Collection of Galaxy Clusters)」として紹介されました。

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銀河団はいくつも知られていますが、天の川銀河に最も近いとされているのが「おとめ座銀河団」。おとめ座銀河団は、人類が初めて“撮影”に成功したブラックホールが存在する楕円銀河「M87」があることでも、近年注目を集めています。

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こちらの画像は、おとめ座銀河団の、見ようによってはちょっと変わった画像です。

【▲バレル・シュミット望遠鏡が捉えた、おとめ座銀河団の画像で、M87が左下に見えています。黒い丸は銀河団の前景にある明るい星を画像から取り除いた跡(Credit: Chris Mihos (Case Western Reserve University)/ESO)】

【▲バレル・シュミット望遠鏡が捉えた、おとめ座銀河団の画像で、M87が左下に見えています。黒い丸は銀河団の前景にある明るい星を画像から取り除いた跡(Credit: Chris Mihos (Case Western Reserve University)/ESO)】

この画像は、キットピーク国立天文台にあるバレル・シュミット望遠鏡が捉えたおとめ座銀河団の姿です。銀河の間に広がる光が写っていますが、黒く塗りつぶされた幾つもの小さな丸が気になります。実は、銀河団の前景にある明るい星を画像から取り除いた跡だとのこと。もちろんブラックホールではありません。注目のM87は画像の左下に見えています。

今後、おとめ座銀河団でも新たなブラックホールが発見されるかもしれませんね。

 

source

Image Credit: Fox et al. 2022 Chris Mihos (Case Western Reserve University)/ESO AAS NOVA / The Astrophysical Journal / ESO

文/吉田哲郎