【▲ 深夜にロケット組立棟から姿を現した新型ロケット「SLS」初号機(Credit: NASA/Ben Smegelsky)】

【▲ 深夜にロケット組立棟から姿を現した新型ロケット「SLS」初号機(Credit: NASA/Ben Smegelsky)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センターでは6月6日、NASAの新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」の初号機を組立棟から射点に移動させる作業「ロールアウト」が行われました。NASAは2022年4月に中断されたSLS初号機の打ち上げリハーサル「ウェットドレスリハーサル」を、6月19日以降に再び実施する予定です。

SLS初号機は、NASAの有人月面探査計画「アルテミス」最初のミッション「アルテミス1」に用いられます。アルテミス1はSLSおよびNASAの新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の無人テスト飛行にあたるミッションです。SLSで打ち上げられた無人のオリオン宇宙船は月周辺を飛行し、打ち上げから4〜6週間後に地球へ帰還します。

ウェットドレスリハーサル(wet dress rehearsal)は打ち上げ前に行われるリハーサルで、本番と同様のタイムラインに沿って48時間かけて実施されます。SLSには極低温の推進剤(液体水素と液体酸素)が実際に充填され、カウントダウンはエンジン点火の直前まで進められます。また、途中でカウントダウンをホールドしたり、一度充填した推進剤を抜き取ったりすることで、何らかの問題が生じた際に打ち上げを中断できることも確認されます。

【▲ ウェットドレスリハーサル進行中のSLS初号機。米国東部夏時間2022年4月14日撮影(Credit: NASA/Ben Smegelsky)】

【▲ ウェットドレスリハーサル進行中のSLS初号機。米国東部夏時間2022年4月14日撮影(Credit: NASA/Ben Smegelsky)】

SLS初号機は2022年3月に最初のロールアウトを迎え、ケネディ宇宙センターのロケット組立棟(VAB)から4マイル(6.4km)先の39B射点へと約10時間半かけて運ばれました。ウェットドレスリハーサルは米国東部夏時間(以下同様)2022年4月1日に始まりましたが、移動式発射台の問題により4月4日に一旦中止。4月12日に再開されたものの、移動式発射台の基部で液体水素の漏洩が認められたことから4月14日に再度中止されています。

リハーサル中にはSLSの上段(第2段)「ICPS」でも問題が確認されていたことから、ウェットドレスリハーサルはこれらの問題に対処するため一旦中断することが決まり、SLS初号機と移動式発射台は4月26日にロケット組立棟へ戻されていました。

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【▲ ケネディ宇宙センター39B射点に到着間近の新型ロケット「SLS」初号機(Credit: NASA/Ben Smegelsky)】

【▲ ケネディ宇宙センター39B射点に到着間近の新型ロケット「SLS」初号機(Credit: NASA/Ben Smegelsky)】

ウェットドレスリハーサルの再開に向けた今回のロールアウトは、米国東部夏時間2022年6月6日0時10分頃にスタート。最大積載量8000トン以上の輸送車両「クローラートランスポーター2」に移動式発射台ごと載せられてロケット組立棟から姿を現したSLS初号機は、約8時間後の同日8時20分頃に39B射点へ到着しました。NASAによると、ウェットドレスリハーサルはロールアウトから2週間後の2022年6月19日以降に再開される予定です。

なお、NASAはアルテミス1ミッションについて、2022年7月〜12月における打ち上げ可能なタイミングを公開しています。それによると、直近では7月26日〜8月10日(8月1日・2日・6日は除く)に、その次は8月23日〜9月6日(8月30日・31日・9月1日は除く)に打ち上げられる可能性があります。打ち上げ日はウェットドレスリハーサルの結果次第で決まりますが、リハーサルが順調に進めばあと2か月ほどで、SLS初号機とオリオン宇宙船は初飛行を迎えることになるかもしれません。

 

Source

Image Credit: NASA/Ben Smegelsky Artemis (NASA Blogs) NASA - Artemis I Mission Availability

文/松村武宏