【▲ 球状星団「ターザン9(Terzan 9)」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen)】

【▲ 球状星団「ターザン9(Terzan 9)」(Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen)】

こちらは「いて座」の方向にある球状星団「ターザン9(Terzan 9)」を捉えた画像です。球状星団とは、数万〜数百万個の恒星が球状に集まっている天体のこと。天の川銀河ではこれまでに150個ほどの球状星団が見つかっています。黄金色に輝く星々が視野いっぱいに散りばめられたターザン9の姿は、まるで財宝がぎっしりと詰まった宝箱のようです。

ターザン9がある「いて座」の方向には、天の川銀河中心部分の膨らみ「銀河バルジ」があります。バルジには星々だけでなく、ガスや塵といった星間物質も集まっています。塵には星から放射された様々な電磁波のうち、人の目に見える可視光線(特に波長の短い青色光)を吸収・散乱させやすい性質があるため、天の川銀河の中心方向にある天体は可視光線では観測するのが難しいのです。

ただし、可視光線の赤色光や近赤外線といった一部の波長は塵を比較的通過しやすいため、塵の向こう側にある天体を観測するのに役立ちます。天の川銀河の中心方向にある球状星団を調査する研究の一環として「ハッブル」宇宙望遠鏡を用いて取得されたこのターザン9の画像も、可視光線と近赤外線のフィルターを通して取得された画像が使われています。

冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」および「広視野カメラ3(WFC3)」を使って取得された画像(可視光線と近赤外線のフィルター合計3種類を使用)をもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として欧州宇宙機関(ESA)から2022年6月13日付で公開されています。

 

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Source

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen ESA/Hubble - Cosmic Treasure Chest

文/松村武宏