欧州のアリアンスペースは現地時間7月13日、新型ロケット「Vega-C(ヴェガC)」ロケットの初打ち上げに成功しました。打ち上げミッション「VV21」の成功により、欧州宇宙機関(ESA)の打ち上げロケットに新たな手段が加わりました。

【▲ ギアナ宇宙センターから打ち上げられた欧州の新型ロケット「Vega-C(ヴェガC)」(Credit: ESA)】

【▲ ギアナ宇宙センターから打ち上げられた欧州の新型ロケット「Vega-C(ヴェガC)」(Credit: ESA)】

ヴェガCロケットは、フランス領ギアナの「ギアナ宇宙センター」から現地時間2022年7月13日10時13分に打ち上げられました。発射から約2分30秒後、ロケットの第1段目が分離しました。また打ち上げから約4分30秒後、第2段の分離にも成功。そして打ち上げから1時間24分後、ロケットに搭載されていた合計7機の人工衛星の分離が始まり、無事に軌道へ投入しました。ESAによると、発射から「AVUM+」(4段目)のエンジン最終燃焼までの所要時間は、2時間15分だったということです。

ヴェガCは全長約34m・直径3.4m・重量210tの4段式ロケットです。第1段の「P120」、第2段の「Zefiro-40」、第3段の「Zefiro-9」は、全て固体燃料を使用しています。第4段の「AVUM+」はエンジンの再点火が可能な液体燃料を用いており、搭載したペイロードを正確な軌道に届けることが可能です。また、運用終了後は高度を下げ、大気圏に再突入することで、宇宙空間にスペースデブリを残さずミッションを終えることができます。

【▲ 発射台で打ち上げの時を待つヴェガCロケット(Credit: ESA)】

【▲ 発射台で打ち上げの時を待つヴェガCロケット(Credit: ESA)】

ヴェガCロケットは、2012年に初飛行した「Vega(ヴェガ)」ロケットの後継機として開発されました。高度700kmの極軌道に打ち上げる能力は、ヴェガロケットは1.5トンですが、ヴェガCロケットは2.3トンへと増加しています。全長もヴェガロケットに比べて、約5m長くなっています。

また、ヴェガCの第1段「P120」は、別の新型ロケット「Ariane6(アリアン6)」の補助ロケットとしても用いられます(構成によって2基または4基)。ESAによると、設備を共有して用いることで、産業効率と費用対効果が向上すると説明されています。

さらに、衛星を搭載・保護するフェアリングは、ペイロード容積が2倍となり、ヴェガロケットよりも大きい衛星や2つの衛星の同時打ち上げ(デュアルローンチ)、ライドシェアミッションをすることができます。ヴェガCロケットは、2023年に打ち上げが予定されている再利用型宇宙船「Space Rider(スペースライダー)」の打ち上げ機としても使用される予定です。

【▲ 再利用型無人宇宙船「スペースライダー」の想像図(Credit: ESA-Jacky Huart)】

【▲ 再利用型無人宇宙船「スペースライダー」の想像図(Credit: ESA-Jacky Huart)】

今回のヴェガCロケット初打ち上げで搭載された人工衛星は、イタリア宇宙機関(ASI)の「LARES-2」と6機の超小型衛星(キューブサット)です。

LARES-2は、慣性系の引きずり(frame-dragging effect、天体の回転によって引き起こされる時空の歪み)を測定する衛星です。LARES-2の前世代となる「LARES」は、2012年の「Vega」ロケットの初飛行で打ち上げられました。

【▲ ギアナ宇宙センターに到着した「LARES-2」(Credit: ESA)】

【▲ ギアナ宇宙センターに到着した「LARES-2」(Credit: ESA)】

搭載された6機の超小型衛星はそれぞれ以下の通りです。

AstroBio CubeSat(イタリア):宇宙空間に存在する生体分子を検出する技術を試験する。 Greencube(イタリア):微小重力下で植物を育てる実験を行う。 ALPHA(イタリア):オーロラなど地球の磁気圏に関連する現象理解を目的とする。 Trisat-R(スロベニア)/MTCube-2(フランス)/Celesta(フランス):放射線環境が電子システムに及ぼす影響を研究する。

 

関連記事:欧州の新型ロケット「ヴェガC」は7月7日に初飛行の予定

Source

Image credit: ESA ESA - Vega-C successfully completes inaugural flight ESA - Vega-C Media Kit

文/出口隼詩