【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で撮影された渦巻銀河「IC 5332」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST and PHANGS-HST Teams)】

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で撮影された渦巻銀河「IC 5332」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST and PHANGS-HST Teams)】

こちらは「ちょうこくしつ座」にある約2900万光年先の渦巻銀河「IC 5332」です。欧州宇宙機関(ESA)によると、IC 5332は直径約6万6000光年で、天の川銀河の3分の2くらい。地球に対して正面を向けた位置関係にある、いわゆるフェイスオン銀河のひとつであるため、らせん状に中心から広がっていく渦巻腕(渦状腕)の様子をよく観察することができます。星々が集まった中心部分の赤みを帯びた銀河バルジと、その周りを取り囲む青く彩られた渦巻腕のコントラストが鮮やかです。

この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」を使って取得された画像(波長275〜814nm、5種類のフィルターを使用)をもとに作成されました。人の目には捉えられない紫外線や近赤外線の波長も含まれるため、画像の色は使用されたフィルターに応じて着色されています。ハッブル宇宙望遠鏡が捉える波長のうち、紫外線や可視光線は塵に吸収されやすく、塵が豊富な部分は渦巻腕を分けるような暗い領域として写っています。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の「中間赤外線装置(MIRI)」で撮影された渦巻銀河「IC 5332」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST and PHANGS-HST Teams)】

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の「中間赤外線装置(MIRI)」で撮影された渦巻銀河「IC 5332」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST and PHANGS-HST Teams)】

いっぽう、こちらは「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡の「中間赤外線装置(MIRI)」を使って取得された画像(波長7.7〜21μm、4種類のフィルターを使用)をもとに作成された、IC 5332の姿です。中間赤外線は人の目には捉えられないので、ハッブル宇宙望遠鏡の場合と同様に、画像の色は使用されたフィルターに応じて着色されています。

ESAによると、ウェッブ宇宙望遠鏡のMIRIは、さまざまな温度で赤外線を放出するガスや塵を捉えています。生物の骨格にも似た複雑な構造が、渦巻腕のらせん構造を反映しつつ銀河全体に広がっていることがわかります。

また、どの波長の光で明るく輝くのかは星によって異なるため、ハッブル宇宙望遠鏡の画像とウェッブ宇宙望遠鏡の画像では星々の見え方も異なっています。可視光線を中心に紫外線や近赤外線を捉えるハッブル宇宙望遠鏡と、赤外線での観測に特化したウェッブ宇宙望遠鏡は、同じ天体を異なる波長で観測することで、互いに補完し合う関係にあるのです。

IC 5332の画像はウェッブ宇宙望遠鏡の今月の一枚として、ESAから2022年9月27日付で公開されています。

 

関連:ハッブル宇宙望遠鏡&ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した渦巻銀河「M74」

Source

Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST and PHANGS-HST Teams ESA/Webb - Webb’s Icy Instrument Reveals Complex Structures

文/松村武宏