シーズン終盤、社会情勢を優先した判断に

3月27日、Bリーグは記者会見を開き、残りのシーズンを終了すると発表した。会見内で大河正明チェアマンは「シーズン再開の方法を模索しましたが、選手、コーチ、クラブ関係者の心身の健康を最優先させていただいた」と苦渋の決断だったことを明かした。

他の国内のプロリーグやNBAなど、現在世界のスポーツ界は停止している状態。また3月26日にプロ野球・阪神タイガースの選手が新型コロナウイルスに感染したことが明らかになり、Bリーグも中止は致し方ない判断だった。

また大河チェアマンは昇降格についても言及し、今季の勝敗による降格を撤廃、B2から2クラブの昇格が決まった。B1ライセンスを持つB2クラブの中で勝率が高い2クラブが昇格することになり(4月下旬のライセンス交付判定後に決定)、来季はB1が20クラブ、B2は16クラブとなる。

今季の収入減は必至、来季への影響は

シーズンの中止と来季の大きな枠組みが決まり、地区制度や来季の昇降格は今後検討されるという。

その中で気になるのはクラブの財政だ。各クラブにとって、最低30試合は担保されているホームゲームに紐付く入場料や物販収入は大きな収入源。しかし2月末から観客を入れた状態でホームゲームが実施できておらず、当初リーグ全体の損失は60億円になるのではと予想されていた。

3月27日の記者会見の中で大河チェアマンは「3月の資金繰りのメドは立っています。4月にかけても多くのクラブの資金繰りをもたせようと実行委員会の中でも話していて、ライセンス担当者も真摯に向き合っています。大きな心配は今のところないが、予断は許しません」と話した。

Bリーグは選手とスタッフの多くが6月末で契約が満了になり、そこまではサラリーを支払う義務がある。大河チェアマンのコメントを振り返ると、5月以降の資金繰りは不透明のクラブが多いのではと予想される。

以前の記事で、宇都宮ブレックスが残りのホームゲーム12試合全て無観客にした場合、損失は2億以上になるのではと紹介した。昨季の入場料収入4億3,000万円から、今季の見込みを5億円としていた場合、そこから単純計算すると最終的な着地点は3億5,000万円前後。さらに物販収入において昨季の売上は1億6,000万円で、今季の見立てが2億でも今回の中止に伴い1億3,000万円前後に落ち着きそうだ。つまり7億円を見積もっていたホームゲームの収入が5億円に届かない事態になってしまう。

対して宇都宮の昨季のトップチーム人件費と運営費は約6億。こちらも増額が予想されるが、契約解除にならない限り選手やスタッフへの支払いは6月末まで発生する。

ホームゲームと遠征を実施しないために多少の経費は削減されたものの、宇都宮にとって営業収入の4分の1位を占めるホームゲーム関連の収入でチームの人件費と運営費を賄うことができず、クラブの経営が苦しくなることは避けられない。これはホームゲーム関連の収入を柱にしている全てのクラブに言えることだ。

さらに新型コロナウイルスの影響が今後も続き自粛が長引けば、プロクラブに投資をする企業が少なくなることも考えられる。新シーズンに向けて各クラブは、スポンサー費に頼らない収入の方法も考えなくてはならない。

アピールの機会も少なくオフ期間の移籍は少ないか

以上のことから来季へ向けての予算の見通しが立たないため、各クラブの戦力は“補強・増強”ではなく“現状維持”になると見られる。

毎年、オフシーズンは選手の出入りが激しく、中には日本代表クラスの移籍や元NBA選手加入もあった。今オフに限って言えば勝負に出ることはクラブの存続に関わる可能性が高いため、ビッグネームの移籍は少ないだろう。

その状況で厳しい立場なのは、出場機会を求めて移籍を検討していた選手たち。特にB1の18クラブの中には、選手層や方向性の違いでベンチを温めている選手もおり、B1の下位やB2,B3とこれまで彼らの受け皿は多かった。

そして彼らのアピールの場となっていたのがシーズンの終盤。順位が決まってくる時期になるとチーム事情でコートに立つ機会が増えるケースがあったが、シーズン中止でそうしたチャンスすらも失われることになった。B2下位やB3で実施されていたトライアウトも不透明な状況で、露頭に迷う選手も出てきそうだ。

ただでさえBリーグ入りを目指す大卒選手は年々増え続け、飽和状態のポジションもある。実際今季はB1で実績のある遥天翼がB3の東京サンレーヴスへ移籍したり、特別指定選手の登用がB3にまで広がったりという状況で、選手は溢れている状況だ。

出場機会が多かった選手、ケガで戦列を離れた選手にとってはこの中止は、身体のケアに時間をかけられることでプラスに考えているだろう。だが当落線上の選手や、今後Bリーグ入りを目指す若手にとっては厳しいオフとなる。クラブや選手、そして発展途上のバスケット界を考えれば、少しでも早い終息を願うしかない。


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