ポスト・ディープインパクト、キングカメハメハはいるのか?

2021年のダービー・オークスを目指して、各地で2歳馬が続々とデビューしている。2歳馬といえば、気になるのはやはり新種牡馬の存在だ。早くも中央、地方競馬の両方で勝ち馬を出したドゥラメンテ、7月11日にはモーリス産駒などが初勝利を収めた。

今年も楽しみな馬が勢ぞろい。果たしてポスト・ディープインパクト、キングカメハメハとなる種牡馬は出現するのか。現役時代の成績や血統から将来を占ってみる(産駒の成績は7月12日現在)。

アジアエクスプレス(初年度種付数175頭/血統登録数118頭)

朝日杯FS、レパードSを勝ったオールラウンダー。父のヘニーヒューズはStorm Cat系で、日本に輸入されて以来毎年多くの繁殖牝馬を集めている人気種牡馬。北米でBeholderという超大物を出し、日本でもアジアエクスプレスのほか、モーニン(フェブラリーS)やワイドファラオ(かしわ記念)というGI級の馬を出している。また、ファルコンSを勝ったヘニーハウンドも、今年種牡馬デビューしている。

芝、ダートの両方で重賞勝ちしたのが強みになっているようで、2018年には種付け数が200頭を超える人気ぶり。父も同じ2018年に192頭の種付けをこなしており、両馬とも成功を収めれば一大勢力が築かれる可能性も十分ある。母系を考えると大物排出はダート部門だろう。自身が2歳GIを勝った馬なので仕上がりは早そうだし、中距離までなら持つはずだ。5月20日に門別競馬場でスティールグレートが初勝利を挙げている。

エイシンヒカリ(初年度種付数86頭/血統登録数53頭)

父はサンデーサイレンス系の三冠馬ディープインパクト。現役時代は日仏英港の4カ国で走り、通算15戦10勝。フランスでイスパーン賞、香港で香港カップを勝ち、日本では毎日王冠、エプソムCを勝利。1800mと2000m(10F含む)しか走っていないが、マイルでも通用しそうな爆発的なスピードが印象的だった。

ディープインパクト×Storm Catという必勝配合。キズナが種牡馬として大成功の兆しを見せており、同じ配合の同馬も今後種付け頭数が増加するかもしれない。キズナほどのオールラウンダーではないだろうが、自身のスピードと母の父Storm Catの仕上がり早がうまく伝われば、この馬も成功する可能性は高い。5月27日にエイシンシトリンが門別で初勝利を挙げている。

2020年新種牡馬エイシンヒカリ血統

ダノンレジェンド(初年度種付数94頭/血統登録数70頭)

父はHimyar系のMacho Uno。Himyar系は本家アメリカでも衰退しているマイナー血脈で、日本ではノボトゥルーが同系統(2015年種牡馬引退)。現役時代はJBCスプリントなどJRA、地方のダート短距離重賞を9勝した。

半弟に日本ダービー2着のダノンキングリー(父ディープインパクト)がいるが、父系が強く出る系統なので産駒もダート向きと考えて間違いない。晩成ではないが、高齢になっても活力が落ちないのが特徴。短距離馬だった自身より距離に融通が利くはずだ。世界的に見ても貴重なサイアーラインで、幸い種付け頭数は3年連続で増加中。ここから後継者が出て血をつなげてくれることを切に願う。

5月5日に門別でリターンギフトが初勝利を挙げると、6月4日にはレジェンドルーラーが同じく門別で新馬勝ち。7月5日現在ですでに4頭が勝ち名乗りを上げ、幸先のいいスタートを切っている。

ディスクリートキャット(初年度種付数137頭/血統登録数96頭)

父はStorm Cat系で米GI勝ち馬Forestry、母も同じく米GI勝ち馬という良血馬。現役時代はシガーマイル(ダート8F)を勝っている。アメリカですでにGI馬を輩出しており、日本では根岸Sを勝ったエアハリファがいる。

同じStorm Cat系の人気種牡馬アジアエクスプレスとデビューが同じというのがツイてない。母系がDamascus系×In Reality系というコテコテの米血だから、一流馬が出るとすればエアハリファのようなダート馬になるのだろう。そのエアハリファは母系も米血配合。サンデーサイレンス系×Storm Cat系から大物は出ているが、逆のStorm Cat系×サンデーサイレンス系の配合はもうひとつ。同系統のアジアエクスプレスと同じく、サンデーの血を含む牝馬と配合して活躍馬を出せるかどうかが成功のカギになる。

4月29日にメイストームが門別の新馬戦を勝利。6月21日にはプルスウルトラが東京競馬場の未勝利戦を勝ってJRA初勝利。6月18日に門別のアタックChを勝ったエムザックベールは母の父がサンデー系のダイワメジャーで、この組み合わせから勝ち馬が出たのは今後に向けて明るい材料。

次回は、注目のキングカメハメハ産駒を中心に新種牡馬の将来を占ってみる。

門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。 前半で出てきた新種牡馬はStorm Catの血を持つ新種牡馬が多かったですね。ダートを中心としている地方競馬では需要の高い血統だけに、どの種牡馬にもブレイクのチャンスはありそうです。