獲得人数は2位ソフトバンクの2倍近く

プロ野球シーズンオフの大きな話題と言えばフリーエージェント。近年は大物の移籍が少なく盛り上がりもそれほどではなかったが、今年はメジャー希望を公言している楽天・松井裕樹やオリックス・山崎福也らがFA権行使を表明。オリックス・山本由伸やDeNA・今永昇太はポスティングシステムでのメジャー移籍を目指すことになり、オフの移籍市場が活性化している。

過去を振り返ると、FA選手を最も多く獲得したのは巨人だ。2位ソフトバンクの16人の2倍近い、28人もの選手を獲得している。

かつては金銭面はもちろん、人気やブランドといった要素も大きく、他球団の主力がFA権を取得すると巨人に流れた時代があった。車好きの男性がマイカーを乗り替えていく過程を表現した「いつかはクラウン」というキャッチコピーのように、球界でも「いつかは巨人」と考える選手がいたとしても不思議ではなかった。

ただ、最近は球団間の人気格差が小さくなったと同時に、「金満補強」などと揶揄された巨人も育成にシフト。選手も待遇より出場機会を求めて移籍する例が増え、FA戦線の様相は変わりつつある。

落合博満、広沢克己と相次いで大砲が加入

とはいえ、長年の活躍の見返りとして得られるFA権は選手にとって、ひとつの勲章でもある。行使するか否か、行使すればどの球団を選ぶか、人生のターニングポイントとなるだけに誰もが悩み、考える。これまで巨人入りした選手はその後、どのような野球人生を送っているのだろうか。野手から見ていこう。

巨人にFA移籍した野手


初めてFAで巨人入りしたのが落合博満。ロッテから中日に移籍して7年が経過した1993年オフ、導入されたばかりのFA権を行使。長嶋茂雄監督率いる巨人のユニフォームに袖を通した。在籍3年で通算打率.296、53本塁打、219打点と全盛期に比べると物足りない成績に終わり、1996年オフにFAで加入してきた清原和博と入れ替わりで日本ハムに移籍した。

落合の翌年に加入したのが広沢克己。移籍1年目は20本塁打72打点を挙げたが、5年目は故障のため16試合出場にとどまり1999年オフに阪神移籍した。巨人と阪神で4番を務めた初めての打者となった。

清原和博は9年で185本塁打も戦力外

1996年オフに加入したのが清原和博。西武のスターを巡って巨人と阪神が繰り広げた争奪戦は同年オフの最大の話題だった。悩んだ末に巨人を選んだ清原は、在籍9年で185本塁打576打点をマークしたものの、2005年オフに戦力外通告。オリックスに移籍し、2008年に引退した。

清原以降も広島の主砲だった江藤智、日本ハム時代の2006年に本塁打、打点の二冠王に輝いた小笠原道大、横浜時代に2年連続本塁打王を獲得した村田修一らが巨人のユニフォームに袖を通した。

巨人にFA移籍した野手は14人。現在も巨人でプレーする丸佳浩と梶谷隆幸を除く12人のうち巨人で現役を終えたのは片岡治大、金城龍彦、相川亮二、脇谷亮太の4人だけだ。残り8人は「終の棲家」とはならず、他球団に再移籍している。

投手14人中7人は再移籍

巨人にFA移籍した投手も見ていこう。

巨人にFA移籍した投手


投手の移籍第1号は広島で131勝を挙げていた川口和久。当時35歳だった1994年オフにFA宣言し、巨人入りした。在籍4年で8勝に終わり、1998年に引退している。

元ソフトバンク監督の工藤公康は西武からダイエーにFA移籍し、1999年オフに2度目のFA権行使で巨人入り。在籍7年で53勝を挙げたが、2006年オフにFAで加入した門倉健の人的補償で横浜に移籍した。

その門倉も在籍2年でわずか1勝に終わり、2009年はカブスとマイナー契約を結んだものの開幕直前に戦力外。同年4月に韓国に渡り、SKと三星で計3年プレーした。

DeNA時代の2016年に11勝を挙げた山口俊は同年オフにFA宣言して巨人入り。在籍3年で計25勝を挙げ、2019年オフに巨人初のポスティングシステムを利用してブルージェイズに移籍したが、2021年に巨人に復帰して2022年に引退している。

FAで巨人入りした投手も野手と同じく14人いるが、山口俊と井納翔一が2022年に引退したため現役はいない。14人のうち、巨人で現役を終えたのは川口和久、杉内俊哉、森福允彦、大竹寛、山口俊、野上亮磨、井納翔一の7人。半数の選手は完全燃焼には至らず他球団に再移籍している。

引退後の監督、コーチまで見据えた将来の幹部候補としては、生え抜きを重用したい球団の思惑があったのかも知れない。しかし、最近は何らかの形で球団に残る例も増えている。

かつて渡邉恒雄元オーナーが「たかが選手が」と発言して反感を買ったことがあったが、最近は相対的に選手側の立場が強くなっていると言えるだろう。FA宣言した選手に「選んでもらう」ためには球団側の姿勢も問われる時代になっている。

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