チームは最下位も選手個々は奮闘

6月19日に開幕したプロ野球のペナントレースも残り40試合を切った。セ・リーグでは巨人にマジックが点灯しており、2位の阪神とのゲーム差も大きく開いている。そんな中、ヤクルトは大きく離された最下位と苦しい状況だ。

それでも選手それぞれを見ると悪くない数字が並ぶ。野手では村上宗隆が打率、本塁打、打点と打撃3項目すべてトップ5に入る活躍を見せている。なかでも打率は2位につけており、初の打撃タイトルとなる首位打者が視界に入る。主将としてチームを引っ張る青木宣親も打率は3割を超え、15本塁打はキャリアハイを更新する勢い。38歳という年齢を微塵も感じさせない。

投手陣では小川泰弘が昨シーズンの不振を吹き飛ばすかのように9勝3敗と貯金を6つ作り、8月15日にはノーヒットノーランも達成した。大卒2年目の清水昇は完全に「8回の男」に定着。9月23日の試合では満塁弾を浴びたものの、20ホールドはセ・リーグトップの数字となっている。シーズン途中から変更した登場曲の『Sandstorm』も馴染んできた。

そして守護神の石山泰稚だ。今年のセ・リーグは開幕の3ケ月延期や過密日程の影響もあり、各球団の守護神たちが総崩れ。そのなかでただ一人、開幕から守護神を守り通している。

K/9、BB/9、K/BBがセ守護神のなかでトップ数値

石山はここまで29試合に登板し11セーブ(リーグ4位)とセーブ数自体は多くない。また防御率2.76、WHIP1.30は現在セ・リーグの守護神を任されている投手の中ではワーストだ。しかし、奪三振と与四球に関してはトップの数字を残している。

セ・リーグ各球団のクローザー成績ⒸSPAIA

1試合あたりの奪三振数を表す指標であるK/9、1試合あたりの与四球数を表す指標のB/9はともにトップの数字。奪三振と与四球の割合を表す指標であるK/BBも、もちろんトップとなる。

石山はセ・リーグ他球団の守護神と比べると、三振を多く奪い、与四球が少ないことがわかる。一般的にK/BBは3.5以上なら優秀とされており、その数値を超えているのは石山とDeNAの三嶋しかいない。

ポーカーフェイスながらも垣間見せる優しさ

9月17日のDeNA戦では、9回2死から上田剛史がフェンスに激突しながら好捕し、ゲームセット。その場で倒れ込む上田のもとに高津臣吾監督をはじめ、複数の選手とコーチが駆け寄った。そのひとりが石山だった。

最後の瞬間にマウンドに立っていたことだけでなく、同じ1988年生まれの同級生という絆があるのだろう。あまり見せることのない感情面、優しさを垣間見た気がした。

石山はこれまでにタイトルを獲得したことがなく、ベストナインやゴールデングラブ賞、新人王といったシーズンを通した各種表彰の経験もない。唯一の表彰が、2018年のセ・パ交流戦における優秀選手賞(日本生命賞)。同年オフの日米野球では日本代表にも選ばれたが、右膝の炎症で出場を辞退した。

マウンド上ではポーカーフェイスで、感情を表に出すことはほとんどない。応援がない今年だからこそ響き渡る投球時の「よいしょー」の掛け声くらいだろうか。

また、SNS等でファンに向けた発信を行うこともなく、ヤクルトファン以外にはあまり知られる要素がない、地味な存在といえるかもしれない。多くのファンが注目するセーブ数や防御率ではなく、あまり馴染みのないK/9やB/9、K/BBといった指標が優秀というのもどこか石山らしい。

そんな石山がマウンドに立つ試合運びを1試合でも多く、それを高津監督も選手もそしてファンも望んでいる。

※数値は2020年9月23日終了時点

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