開幕13連勝の菅野と45イニング連続無失点の大野

プロ野球で一定の基準を満たした投手に贈られ、最高の栄誉とされる「沢村賞」について、2020年は誰がふさわしいか議論が活発になってきた。

開幕連勝記録を続けている頃は巨人・菅野智之以外になさそうなムードだったが、13連勝でストップしてから連敗。一方で、中日・大野雄大が10月22日のDeNA戦で今季6度目の完封勝ちで10勝目をマークし、連続無失点記録を45に伸ばした。

沢村賞の選考基準は「25試合登板以上」「15勝以上」「防御率2.50以下」「200投球回以上」「150奪三振以上」「10完投以上」「勝率6割以上」の7項目に加え、7回以上自責点3以下のQS(クオリティスタート)も補足項目となっている。試合数の少ない今季は基準を満たしていなくても、それに近い数字なら評価対象となるだろう。

菅野は東海大から2012年ドラフト1位で入団した8年目の31歳。右の本格派として巨人にとどまらず球界を代表するエースとして、プロ通算100勝をマークしている。

大野は佛教大から2010年ドラフト1位で入団した10年目の32歳。ツーシームが武器の左腕で、プロ通算68勝を挙げている。

タイプの異なる両者だが、データ面でどちらが優れているのか比較してみた。

防御率や与四球率、奪三振数は大野が上回る

登板はともに18試合。菅野は開幕投手として史上初の13連勝と無敗街道を突き進んだのに対し、大野は開幕戦から6試合は白星なし。今季初勝利は7月31日のヤクルト戦と遅かった。

しかし、大野はその試合から5試合連続完投勝利。さらに9月15日の広島戦の二回から10月22日のDeNA戦の九回まで45イニング連続無失点を続け、64年ぶりに球団記録を更新した。

巨人・菅野智之と中日・大野雄大の比較


防御率は2.05の菅野に対し、大野は1.79でリーグ1位。完投、完封とも3回の菅野に対し、大野は10完投、6完封をマークしている。

投球回数は127.1回の菅野に対し、大野は135.2回と多いこともあり、奪三振数も121対137で大野が多い。K/9(奪三振率)も菅野の8.55に対し、大野は9.09と上回っている。

1イニングに何人の走者を許したかを示すWHIPは菅野が0.90、大野が0.83、平均的な投手に比べて同じイニング数でどれだけ失点を防いだかを示すRSAAも菅野が28.2、大野が34.4、BB/9(与四球率)も菅野が1.63、大野が1.33と、いずれも大野が上回っている。

被本塁打少ない菅野、2人同時受賞なら3度目

被打率は菅野が.197、大野が.194と遜色ないが、被本塁打数は8本の菅野に対し、大野は13本と多い。1試合で打たれる本塁打数を示すHR/9は菅野が0.57、大野が0.86と菅野に軍配が上がる。本塁打の出やすい東京ドームを本拠地にしているにもかかわらず菅野の方が打たれていないのは、やはり球威のある証拠だろう。

6回を自責点3以内に抑えるQS(沢村賞の選考基準は7回自責点3)は16回の菅野の方が多い。大野は最近の印象が強烈だが、開幕戦は4回6失点で降板するなど、今季前半の不調が響いている。

全体的に見ると、大野が方が高い数字が多いが、開幕からシーズンを通して好投を続ける菅野とシーズン半ばから調子を上げてきた大野のどちらを評価するか、意見は分かれるだろう。このまま巨人が優勝すれば、菅野の貢献度が高いことも好印象だ。

阪神・西勇輝やオリックス・山本由伸、楽天・涌井秀章らも候補ではあるが、2人の争いに割って入るまでには至らないと見られる。いずれにせよ、今年の沢村賞が空前のハイレベルな争いであることは間違いない。

菅野が受賞なら2年ぶり3回目、大野が受賞すれば初受賞。2人同時受賞なら1966年の村山実(阪神)と堀内恒夫(巨人)、2003年の斉藤和巳(ダイエー)と井川慶(阪神)以来、3度目となる。

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