昨年菅野が最も打たれたチームは?

昨シーズン、巨人の菅野智之はプロ野球新記録となる開幕戦先発から負けなしの13連勝を達成し、最多勝利、最高勝率のタイトルを獲得した。惜しくも沢村賞の栄誉は中日の大野雄大に譲ったが、勝るとも劣らない活躍でリーグ戦2連覇に大きく貢献。セ・リーグMVPに輝いた。

防御率1点台、規定投球回に達した投手の中で1位の被打率.196、同2位のWHIP0.89と、まさに無双とも言える投球を披露した。そんな菅野が昨シーズン最も苦手とした、また得意としたチーム・選手を探っていこう。

2020年、菅野が喫した黒星は2つ。阪神と広島からそれぞれ1つずつだ。しかし、最も打たれたのはセ・リーグ最下位のヤクルトだった。4試合24.2回を投げ、被安打23、9失点で防御率は3.28。被打率.247はセ5球団の中で最も高い数字だ。

2020年菅野智之対戦球団別成績


規定投球回に到達した投手(大野雄大、森下暢仁、西勇輝、九里亜蓮、青柳晃洋)らとヤクルト戦被打率を比べると、意外にも菅野の数字は青柳の.250に次ぐ悪さだった。強打で知られるヤクルト打線だが、各球団のエース級の中でも特に菅野を打っていたことがわかる。とは言え、3点台前半であれば十分抑えているとも言える数字だ。実際、菅野はヤクルトを相手に「3勝負けなし」だった。

防御率や被打率ではヤクルト戦の相性が悪かったが、被本塁打を見ると阪神戦の4本がワーストだ。昨シーズン喫した8本塁打のうち、半分が阪神戦でのものということになる。6月19日の開幕戦で投手の西勇輝に一発を浴びると、8月4日にサンズ、9月15日には近本光司に2打席連続で被弾。だが、いずれの試合も3点以内に抑え、勝利投手になっている。

ちなみに、サンズ以外には本拠地・東京ドームで打たれており、球場別で見ても8本中6本が東京ドーム。あとは甲子園と神宮球場で1本ずつだった。

近本光司は菅野と相性抜群

続いて、菅野を最も打った打者を見ていこう。安打数でトップだったのは、阪神の近本だ。16打数7安打と抜群の相性を見せ、2本塁打もトップ。1年目の14打数4安打から大きく対戦成績を上げている。3年目の対戦にも注目したい。

近本に次いで4安打でサンズ、糸原健斗(阪神)、松山竜平、菊池涼介(広島)、佐野恵太、ロペス(DeNA)が並ぶ。佐野は8打数4安打で打率5割をマークするなど、規定打席到達者の中ではトップ。DeNAからはロペスの6打数4安打を筆頭に、柴田が6打数3安打、大和が3打数2安打と、規定打席未到達の選手が好相性だった。

意外にも上位にヤクルトの選手は入らなかったが、2安打以上が7人とチーム全体として菅野を打っていたようだ。

対中日は防御率0.00、WHIP0.52と圧倒

逆に、菅野が最も得意としたのが中日だった。3試合(25回)に登板し、3勝0敗、2完封、防御率0.00をマーク。奪三振率10.08、WHIP0.52、被打率に至っては.107と圧倒した。被安打はわずかに9本で、ビシエド、木下拓哉、大野雄大の2本が最多だ。ちなみに、3試合のうち2試合で大野雄大と投げ合い、9回1安打無失点・11奪三振、7回5安打無失点・6奪三振といずれも投げ勝っている。

また、菅野が最も抑え込んだ打者は、DeNAのソトだ。本塁打王を獲得した2018、2019年はいずれも打ち込まれていたが、昨シーズンは11打数無安打、6三振と完璧に封じ込めることに成功。そのほか、規定打席に立った打者では、中日の大島洋平を10打数、高橋周平とDeNAの宮崎敏郎を6打数でいずれも無安打に抑えた。

タイトルホルダー別に見ていくと、首位打者の佐野には前述したように、8打数4安打と相性が悪く、1二塁打、1本塁打、1四球を許した。一方、本塁打と打点の2部門で2位(※)だった村上宗隆との対戦を見ると、11打数1安打、2三振、1四球と圧倒している。出塁率・長打率・OPSでリーグトップの村上だったが、菅野相手にその能力を発揮することはできなかったようだ。
(※)本塁打王と打点王は同僚の岡本和真

最後に紹介したいのが、少ない対戦機会ながら菅野をとらえた若手選手たちだ。1人目はヤクルトの濱田太貴。一軍昇格した8月12日に代打登場。初球をとらえてプロ初安打とすると、次の打席も初球をとらえて2打席連続安打とした。

2人目は同じくヤクルトの武岡龍世だ。濱田とともに昇格し、代打で二塁への内野安打をマーク。シーズン終盤にもプロ2安打目を菅野から放ってみせた。

3人目は、ソフトバンクの栗原陵矢だ。交流戦がなかった2020年だったが、日本シリーズ初戦で菅野から先制2ラン、二塁打、2点タイムリー二塁打の大当たり。シリーズの勢いを一気に手繰り寄せる活躍を見せた。

ポスティングでの移籍交渉が折り合わず残留が決まった菅野だが、今シーズン終了後には海外FA権でのMLB再挑戦を視野に入れる。今から今シーズンの活躍が楽しみだが、MLB球団に「獲得しておけばよかった」と思わせる投球に期待したいところだ。

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