圧倒的な投球から8年の月日

8年ぶりに古巣・楽天に復帰した田中将大。連日、スターの一挙手一投足は注目の的になっている。メジャー移籍前、最後のシーズンとなった2013年は24勝(0敗)という伝説的な記録を打ち立て、当時の圧倒的ともいえる投球を思い起こすファンも多いはず。

しかし、8年という長い月日が過ぎた。近年、田中の投球スタイルはどう変わってきたのか。今の投球スタイルと対峙した際、好勝負が期待できそうな打者は誰なのか考察してみる。

近年はスライダーとスプリットを多投

まずは各球種の割合。田中といえば、「稲尾和久や伊藤智仁らに匹敵する」と野村克也氏が評価したスライダーや鋭く落ちる宝刀スプリットが大きな武器。2013年は、スプリットで並み居る強打者をねじ伏せた印象が強い。

2020年の投球割合を見ると、最も多投したのがスライダー(38%)。次いでスプリット(25%)、直球(24%)、ツーシーム(7%)、カーブ(6%)。この割合は2019年と大きな変化はないため、今季もスライダーとスプリット、直球が軸になると予想される。

ちなみに2013年は直球(36%)、スライダー(24%)、スプリット(19%)、ツーシーム(14%)と、直球を軸に力で押すシーンも多かった。最近はスライダーとスプリットの割合が増えており、モデルチェンジしていることがわかる。

では、直球の球速はどうなのか。2020年の平均球速は148.6kmをマークしており、2019年の147.2kmを上回っている。平均球速が153.4kmの千賀滉大や151.3kmの山本由伸には及ばずとも、十分な球速といえる。何よりも田中はコントロールに優れ、近年のメジャーでも「精密機械」と評されるなど、際どいコースを突く制球力はいまだ健在だ。

最も注目すべき対戦は初顔合わせのスラッガー

パ・リーグには数々の強打者がひしめく。今の田中が柳田悠岐や吉田正尚、中田翔、山川穂高らとどんな勝負を繰り広げるのか興味は尽きない。今の田中の投球スタイルを考えた時、最も注目すべき相手が吉田だ。

吉田の球種別打率を見ると、スライダーに対する打率は.308、フォークは.400、スプリットは.333と田中が得意とする球種を打ち込んでいる。当然、投手によって球筋や球威などが異なるため一概には有利と言い切れないが、吉田は田中との対戦経験がないこともあり、興味はより一層深まる。

2020年の田中の投球配分を見ると、直球は高め、スプリットは低めに球を集める傾向にあるが、吉田は直球に強く対直球の打率は.331。さらにコース別打率をみると、高めに滅法強く(内角高め.414、真ん中高め.386、外角高め.365)、低めも全般的に3割前後打っていて隙がない。

球界屈指の安打製造機との対戦にも注目

田中はメジャー屈指の強打者、エドウィン・エンカーナシオンと相性が悪かった(27打数12安打、打率.444、3本塁打)。エンカーナシオンは選球眼が良く、低めの球を大の得意としていた。また、インディアンスの主砲、ホセ・ラミレスも苦手としていたが、同じくローボールを得意とする打者。タイプは違うが、低めに強い近藤健介(内角低め.375、真ん中低め.406、外角低め.255)との対戦にも注目したい。

近藤は田中に対して11打数0安打と苦手としていたが、それは近藤がブレイクする前の時期。今や日本球界屈指の選球眼とバットコントロールを誇る近藤が、田中のスプリットをいかに見極め、弾き返すのかにも注目だ。

新型コロナウイルスの影響を受け、当初は想定外だったであろう(メジャーで全盛を誇っていたため)帰還を選んだ田中。今季は並み居る強打者と、数多い名勝負が生まれるだろう。

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