100イニング以上登板の投手でワーストの被安打132

昨季、プロ野球史上82人目となるノーヒットノーランを達成し、10勝をマークしたヤクルト・小川泰弘。しかし、防御率は自己ワーストとなる4.61と低迷し、被安打も100イニング以上に登板したセ・リーグの投手の中でワーストとなる132本を記録した。

低迷するチームを支えるべく奮闘したが、2013年に最高勝率・最多勝・新人王に輝いた当時のピッチングスタイルを取り戻せずにいる。ノーヒットノーランを成し遂げる実力を持ちながらも、打ち込まれるのはなぜだろうか。

軸となる球種の被打率の高さ

小川は多彩な変化球を持っており、その中でも軸となるのが投球割合全体の66.8%を占めるストレート、カットボール、チェンジアップだろう(SPAIA参照、https://spaia.jp/baseball/npb/player/1200076)。

しかし、この軸となる3球種の被打率はすべて.270を超え、特にカットボールは被打率.333となっている。チェンジアップも10%を超えると優秀とされる空振り奪取率が17.8%とかなり高いものの、反面、被打率.286とやや打ち込まれている。

奪三振の54.2%がストレートによるものだが、これも被打率.274となっており、打者を圧倒しているとは言えない。軸となる球種であると同時に、狙い球にされていると考えられる。

ゾーン別データ(SPAIA参照)では、左右の打者のインコース高めとアウトコース高めの被打率が軒並み.300を超え、左のインハイが被打率.350、アウトハイが被打率.433、右のインハイが被打率.313、アウトハイが被打率.310とかなり打ち込まれたことがわかる。

高めのボールの被打率が高くなっている理由は、高めに抜けたボールを狙い打ちされている可能性が高い。小川はコントロールに定評があるため、高めに目を付けて打席に入るよう指示があることも十分に考えられる。

求められる各指標の改善

成績レーダーチャートでは、小川の各指標はBB/9(与四球率)2.19を除き、すべてがセ・リーグ平均を下回っている。特にK/9(奪三振率)6.28は、大きくリーグ平均を割り込んでおり、三振を思ったように奪えていないことがうかがえる。

三振が取れていない原因として、狙い球を絞られている、配球が読まれている可能性があるが、いずれにせよ、奪三振率の低さは防御率の悪化と無関係ではないだろう。

仮に配球を読まれているとした場合、決め球のフォークを投げる前に打たれている可能性もあるため、バッテリー間で組み立てを考え直す必要がある。空振り奪取率21%と高いフォークを増やす(昨季は全体の9.2%)のもひとつかも知れない。

ヤクルトは、今春キャンプに古田敦也臨時コーチを招聘し、バッテリーの底上げに取り組んでいるが、12球団最下位のチーム防御率4.61を改善するためには、古田臨時コーチの配球論の指導も重要になる。

チームがAクラス浮上のきっかけを掴むには、エースである小川の各指標の改善が必要不可欠。成績というわかりやすい形でチームを引っ張っていけるか、今季の小川の投球に期待がかかる。

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