課題は外角低めと落ちる球の攻略

2020年シーズンにメジャーリーグ移籍を果たした筒香嘉智(現タンパベイ・レイズ)の後釜として、「4番・左翼・主将」のポジションを引き継いだ佐野恵太。スタメン定着1年目にして打率.328で首位打者にも輝き、充分期待に応えたと言えるシーズンを過ごした。

佐野を抜擢したアレックス・ラミレス監督が退任し、三浦大輔新監督が就任したDeNAだが、今年もそのポジションには「佐野恵太」の名前がある。タイトルホルダーとして迎える今シーズン。佐野が再び首位打者に輝くために必要なことを、昨シーズンの成績から考えてみたい。

昨年の開幕前、佐野が首位打者を獲得すると予想できた人はほとんどいなかっただろう。それまで代打で成績を残してきたとはいえ、突然レギュラーに抜擢されたのだ。まさかそれまでと変わらない、むしろそれ以上の成績を残すとはなかなか考えづらかった。

だが、今シーズンは違う。昨シーズンに残した大きな実績から、各球団は徹底的に弱点を突いてくるはずだ。

その弱点とは、ずばり「外角低め」である。ストライクゾーンを9分割した場合、佐野は真ん中から内、真ん中から高めのゾーンで打率3割以上をマークしており、特にインコースと高めは打率4割以上と無類の強さを発揮した。これは投手の左右に関係なく、概ね同じ傾向にある。

しかし、そんな佐野が唯一苦手としたのが、外角低めだった。打率.182で、左右投手別で見ても、対右が.176、対左.190とほとんど打てなかったゾーンだ。

佐野は昨シーズン、セ・リーグMVPの菅野智之に対し8打数4安打・1本塁打と得意としていた。一方、沢村賞を獲得した大野雄大とは4打数1安打とやや分が悪かった。これは、菅野が左打者のインコースへ積極的に投じていたのに対し、大野は外角低めに徹底して投げていたことが一因かもしれない。

昨シーズンのセ・リーグ打率10傑で、外角低めの打率が2割を切ったのは佐野のみ。それでも首位打者を獲得しているのだから、この弱点を克服すれば2年連続の栄冠はグッと近づくはずだ。

次に球種別成績をみると、多くの球種で打率3割以上なのに対して、フォークは.184、スプリットは.167と苦戦している。かといって落ちる系の球が全て苦手というわけではなく、チェンジアップは.500と全球種の中でもっとも高い率を残しているのだ。

ストレートやツーシーム、シュートなどの速球系も3割以上、チェンジアップやカーブなどの緩い球も4割以上と緩急の揺さぶりも苦にしなかった。となると、フォークやスプリットという「速く落ちる系の球」の攻略が課題となるだろう。

かつての首位打者・鈴木尚典のような優勝に導くヒットメーカーへ

また、佐野が今年も首位打者を獲得するためには、前後を打つ打者も重要になってくるだろう。昨シーズンは主に、ソトやオースティンが3番を、宮崎敏郎やロペスが5番を務めた。前後を打つ打者が強力だったためマークも薄れ、佐野も"つなぐ"ことに集中し打席に入れたはずだ。

だが今シーズンはコロナ禍の影響により、ソト、オースティンら外国人選手の入国が大幅に遅れた。ようやく3月28日に来日したものの、2週間の隔離期間を経て調整に入るとなると、チームに合流するのは早くても4月下旬くらいだろう。その上、合流直後に昨年同様のパフォーマンスを期待できるかどうかは未知数だ。

幸い開幕から3番を務めているルーキー・牧秀悟(ドラフト2位)が.381、5番を務める宮崎が.333と申し分ない成績を残している。現状、この点については心配なさそうだ。

最後に、今シーズンの佐野にはタイトル争いだけでなく、優勝争いできるようチームを押し上げる役割も期待したい。1996年以降の25年間で、DeNA(横浜時代含む)は首位打者を7人(8回)輩出している。その中で、優勝争いをした上で勝ちとったのは、1997年と98年の鈴木尚典のみ。

近年、内川聖一や宮崎敏郎ら球界を代表する首位打者も輩出してきたが、やはり優勝争いの中で獲得したタイトルというのはひと味違う。佐野にはぜひ鈴木尚のような、チームを優勝に導くヒットメーカーになってもらいたい。

※今シーズン成績は3月31日終了時点

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