4日の日本ハム戦で7回2安打11奪三振無失点

開幕5連敗と出だしでつまずくも、4月1日の楽天戦で16得点と打線が爆発し大勝。その後も白星を重ね、4月10日試合終了時点で5勝7敗2分けと、早い段階で巻き返しに成功したロッテ。今季の開幕ローテーションは美馬学以外、20代前半〜中盤の若手投手が担っているが、中でも一際輝きを放っているのが、ドラフト1位ルーキーの鈴木昭汰だ。

3月14日のソフトバンクとのオープン戦、先発で5回を投げ1安打無失点の快投でアピールに成功し、開幕ローテーション入りをつかんだ。開幕カード3戦目のソフトバンク戦では、栗原陵矢に右翼席に運ばれ2失点を喫したが、打たれたのはこの1本のみ。4月4日の日本ハム戦では、初白星とはならなかったものの、最速151kmの直球とキレのある変化球で7回2安打11奪三振無失点と再び好投した。

圧巻は、4回2死一塁の場面から奪った5者連続三振。力のある直球がコースに決まり、キレ味抜群のスライダーが右打者の内角をえぐった。ルーキーらしからぬ堂々としたマウンドさばきと投げっぷりの良さも際立ち、投げる度に首脳陣の信頼をつかんでいる。 2試合(12回)に登板して防御率1.50、被打率は圧巻の.079。白星を挙げるのも時間の問題だろう。

直球の平均球速は先発投手で12球団1位

鈴木の投球の軸となっているのは、力強くキレのある直球だ。球速はあくまでひとつの参考だが、直球の平均球速は147.4km。ソフトバンクのリバン・モイネロの151.9kmには及ばないが、先発投手の中では12球団1位だ(4月8日試合終了時点)。

この直球が内外角の絶妙なコースに決まる。特に右打者へのクロスファイアが効いていて(対右打者の被打率.042)、内角を意識させることで変化球も生きている。

2021年に登板した主な左投手の平均球速ⒸSPAIA


クロスファイアは、左投手なら皆が投げ込めるというものではない。内角を狙うがゆえに死球、もしくは一歩間違えればコースが甘くなり一発を食らうリスクもある。直球に球威がなければ効果は見込めないし、内角にしっかりと投げきる制球力も必要だ。

また、鈴木は高い位置から腕を振り下ろすため角度があり、スライダーが縦に鋭く落ちる。投球回(12回)を上回る三振をマークしており(17奪三振)、奪三振率12.75は先発した投手の中でリーグ2位。直球でも変化球でも空振りがとれるのは魅力だ。

ゾーンの四隅、厳しいコースへの投球を徹底

投球回はまだ12回と少ないが、被安打は3。打たれたのは直球のみで、スライダーやツーシーム、フォークといった変化球では安打すら許していない。SPAIAのゾーン別データを見ても、ストライクゾーンの四隅への投球割合が多く、甘いコースへ投じる割合が少ない。

鈴木の投球を見ていると、特に右打者の内角低めへクロスファイアや鋭く食い込んでいくスライダーがよく決まっている印象が強い。データ上でも、対右打者で最も投球割合が多いのが内角低め(18.9%)と外角高め(18.9%)となっており、数字にも表われている。外角低めも16.2%と多く、真ん中は2.7%と最も少ない。

左打者に対する投球割合は外角を徹底。外角低めが37.2%とダントツで多く、次に外角高めの17.4%、外角中程の14%と続く。また、内角高めも10.5%と比較的多く、右打者ほどではないが、左打者にも内角を意識させる配球を心がけていることがわかる。球種の割合を見ると、右打者と比較してツーシームを投じる割合が少ない分、直球とスライダーの割合が多くなっている。

課題は、セットポジションの時とカウントが悪くなった時の制球だ。今季初登板となったソフトバンク戦では前半から飛ばした影響もあってか、中盤に四球が増えた(5回で6個の四球)。しかし、続く日本ハム戦では制球が安定し、四球は2個。走者を背負ってからも粘りの投球で後続を断つなど、初登板時の課題をクリアする修正能力の高さも見せた。

ここまでは期待通り、もしくは期待以上の投球を披露している鈴木。投球フォームが似ていることから、2007年に16勝(1敗)、防御率1.82という驚異的な数字を残し、“負けない左腕”と称されたかつてのエース・成瀬善久と比較されている。実際、成瀬のようなチームを支える存在になれるポテンシャルは大いに秘めている。ローテーションの一角としてシーズンをフルに投げ抜いた時、どれほどの数字を残すのか要注目だ。

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